「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

3:ゲーム

{116}Oliver, M. B., et al. (2016)

ゲームが快楽以外のものをもたらすかを調査したもの。 具体的にいうなら、「Heavy Rain」や「Detroit: Become Human」のプレイ体験が何をもたらすかを明記した研究である。これらはCET定義の心理的欲求の充足やフロー状態のような単純な楽しさというよりかは…

{115}Andrew K. Przybylski, et al. (2009)

日々の欲求充足の情熱を介したゲームプレイへの影響を調査したもの。 情熱の二元論的モデル(Vallerand et al. 2008)を採用。完全な内面化がもたらす調和的な情熱と、不完全な内面化がもたらす強迫的な情熱が、ゲームプレイの楽しさにどう作用するのか。また…

{114}De Schutter, Bob and Malliet, Steven. (2014)

高齢者のゲームプレイの動機とそのタイプを探索する研究。 「テトリス・ソリティア・ウォークラフト・ハーフライフのいずれであっても、少なくとも週一回または年一回ゲームプレイしたことがある、45歳以上」を条件にサンプリング。オンラインコミュニティ、…

{112}Juho Hamari, et al. (2017)

ソーシャルゲーム(Free-to-play game)の有料コンテンツの購買理由について調査したもの。 オンライン調査。n=519、94%が40歳以下、大半が20代。特定のゲーム媒体ではなく、とりあえず無料ゲームに課金したことがある人をサンプルとして扱い、その動機と課金…

{111}Vero Vanden Abeele, et al. (2020)

ゲームユーザーを対象とした研究(GUR)のための新しい指標、Player Experience Inventory (PXI)の開発を行った研究。 プレイヤーのフィードバックを定量化するための尺度には、主に心理的側面と行動的側面の2つがある。前者は心理的欲求の充足を測ることでプ…

{106}Przybylski, A. K., Ryan, R. M., & Rigby, C. S. (2009).

暴力的描写が短期的な楽しさに関わっているかを検証したもの。 ESRBレーティングを参照に暴力的描写をランク付け。自分の好きなゲームとそれに対する体験を質問票で答えてもらったStudy 1。暴力的なゲームを遊んだ時の楽しさとか攻撃性とかを計測したStudy 2…

{105}Ryan, R.M., Rigby, C.S. & Przybylski, A. (2006)

ゲームプレイによる楽しさを自己決定理論の言葉で説明できるかを検証した実験。 ゲームする前とした後で質問紙記入してもらって、心理的欲求充足が楽しさを媒介するかを確かめたStudy 1。評価が異なるゲームをプレイしてその楽しさの差分が心理的欲求で説明…

{102}Immersyve Inc. (2007)

プレイヤーの欲求充足の知覚(The Player Experience of Need Satisfaction:PENS)の概論。 プレイヤーは"何故"楽しさを知覚するのかに焦点を当て、その理由をSDT[76]の概念を用いて言語化したもの。基本的に、楽しさの表れは心理的欲求の充足からなるものであ…

{101}Klimmt, C., & Hartmann, T. (2006)

ゲームプレイの動機獲得のために有能感と自己効力感がいかに大事かを説く理論的考察。 ゲームは他のメディアコンテンツと比べてかなりコストがかかる娯楽である。意思決定の機会は比にならないし、プレイ環境を整えるのも一苦労である。また操作の記憶や世界…

{100}Reinecke Leonard, et al. (2012)

心理的欲求の充足/阻害がゲームプレイの選択にどうかかわっているか、欲求阻害の回復行為が現れるかを実験で確かめたもの。 米国中西部の大学生111名(男性28名 平均19.96歳)対象。フライトシミュレーターを使用。あらゆる操作が求められる高条件・速度や舵の…

{98}Max Birk and Regan L. (2013)

コントローラの際によるプレイヤー体験の変動、またその要因を実験したもの。 プレイヤー体験はゲームプレイ中に表出された性格の変動の影響を大きく受ける。性格の変動はプレイ中の欲求充足により変わるため、例えば扱うコントローラによって、ゲームの合う…

{97}Nick Yee, et al. (2012)

ゲームの動機付けの3因子モデルの追加検証。 Yee (2007)の妥当性確保のための検証。 指標は3因子を直接抽出しているわけではなく、下位10項目を評価しているため、これの改善として12項目(1因子につき4項目)による評価を行う。→パイロット調査を経たのちに米…

{99}Christian Burgers, et al. (2015)

教育用ゲームの動機付けにフィードバックがどう絡んでいるのか、またその構成要素の詳細を実験で確かめたもの。 脳トレライクなゲームを用いる。2(フィードバックの正/負)×3(記述・比較・評価フィードバック)の6条件に割り振り。157名(女性109名 平均32.07歳…

{96}Daniel Johnson and John Gardner. (2010)

ゲームジャンルの選好・心理的欲求(PENS)・性格特性(big five)の関係を調査したもの。 235名(男性82%,平均22歳)対象、71%がビデオゲーム学科所属の学生。オンライン調査。サンプリングは雪だるま式。現在の好きなゲーム(シューティング・スポーツシミュレ…

{95}Rachel Kowert et al. (2015)

孤独感とか自尊心の低下などがオンラインゲームへの関与の原因なのか結果なのかを調査したもの。 ドイツのゲームプレイヤーよりサンプル抽出、サンプルを思春期(14-18)・青年期(19-39)・成人期(40~)に区分。電話調査、1年間隔で2回行われた。オンラインゲー…

{75}Sebastian Deterding. (2011)

SDTに基づいた、ビデオゲームプレイの動機付けモデルの提供。 ゲームプレイの動機は内発的動機付けで、特に自律性充足が主軸となる。CETに則り、ゲームプレイの文脈(環境)は動機付けに顕著な側面をもたらす。ゆえに、ゲームプレイにより起こる動機付け、喉か…

{74}Przybylski, A. K., Rigby, C. S., & Ryan, R. M. (2010)

ゲームがなぜ人々を魅了しているかをSDTの観点から説明する試み、をレビューしたもの。 結論として、SDTが定義する心理的欲求の充足は、ゲームの楽しさの強固な要因である。 ゲームの楽しさのより一般的な部分、例えば直観的な操作や選択の余地などはプレイ…

{73}Dennis Charsky, and William Ressler. (2011)

「ゲームは人を意欲的にする!」と調子に乗ってうっきうきで授業に採用した結果大爆死した、非常に貴重な研究。 methodt 世界史の授業の代替としてCivⅢを使用。 測定方法はKeller (1987)のIMMS。動機付けのARCSモデルに則ったもの。 米国コロラド州の公立高…

{70}Adachi, P. J. C., & Willoughby, T. (2011)

今までの研究でビデオゲームの暴力的描写で喚起されてきたとされる短期的な攻撃性は、同じく競争的要素によって喚起された可能性がある。競争・行動ペース・難易度を統制し暴力的描写のみ差分を設けた2条件比較の際、ホットソースパラダイムのスコアに有意な…

{68}Paul J.C. Adachi, and Teena Willoughby. (2011)

暴力的なゲームと攻撃性の相関をうたう実験に対する2つの批判。 1つ目。暴力以外の攻撃性に関連する交絡変数の統制がなされていない。GAM(Anderson and Bushman 2002)に則れば、攻撃性の表出は生理的覚醒やフラストレーションを介しているという。であれば、…

{67}Sebastian Deterding. (2016)

ゲームプレイは、CETにより定義される自律性阻害の条件によって、統制的動機が伴うようになる。 以前からまとめていた、選択の余地を代表とする自律性の担保と強制の文脈の違いが「ゲームと宿題の違い」、という主張を支持する質的研究。 具体的には、ゲーム…

{61}Ghuman, D. & Griffiths, M.D. (2012)

RPG,FPS,RTSを好む人たちの人口統計学的要素・対人関係・動機(Yee 2006の社会・達成・没入の3動機)の調査。 RPGは比較的高年齢の人がプレイ。 RTSとFPSは比較的男性に好まれ、RPGは比較的女性に好まれる。 RPGプレイヤーは比較的長時間プレイ(週24時間)する…

{60}Matthias Brand et al. (2016)

I-PACEモデル。特定のインターネット利用障害に関するモデルの改訂版。 素因変数ー情動・認知ー実行・抑制ー結果の4段階で考える。 根幹の原因として、遺伝要因や虐待等の経験、うつ病などの精神疾患、個人の嗜好が挙げられる。初期はネット利用による短絡的…

{59}Stéphanie Laconi, Sophie Pirès, and Henri Chabrol. (2017)

逃避・対処・空想動機はIGDスコアを予測。 週平均プレイ時間はIGDを有意に予測しない。 IGDスコアとアクション/アドベンチャーゲーム選好がリンク。 IGDの人は精神医学的苦痛をより多く体験していたが、動機・IGD・精神医学的苦痛の因果関係やパスの詳細は不…

{58}Halley M. Pontes. (2017)

SNS依存症とインターネットゲーム障害(IGD)に正の相関。またSNS依存症は人口統計学的要素に有意な関係は見られなかったが、IGDには見られ、男性かつ若年層と正の相関。週平均プレイ時間とIGDは正の相関がみられたが、週平均閲覧時間とSNS依存症には有意な関…

{57}Zsolt Demetrovics et al. (2011)

オンラインゲームの動機付けの基盤となる構成要素(動機)を明らかにする。また、特定の動機を測定できる尺度の開発。 n=3818を用いて確証的因子分析。最終的には7因子・27項目から構成される質問票が完成した。 第一因子、逃避、現実からの逃避を動機とする…

{56}Bakkes, S.; Tan, C.T.; Pisan, Y. (2012)

Personalized Gamingと呼称される、ゲーム側がプレイヤーの特性に応じてその内容を逐次変化させる使用について、その概要と動機、またゲームのどの部分にこの仕様を適応させるかについて議論している。 著者は、この仕様によりプレイヤーの性格や特性などを…

{55}Dave Westwood and Mark D. Griffiths. (2010)

プレイヤーがどういった動機を以てプレイしなにを重要視しているか、またプレイヤーのゲームの選り好みについて調査。 結果、選り好みのタイプについて、6タイプが抽出できた。 タイプA。特にストーリー・世界観の理解を目的にプレイし、目的達成のためにレ…

{46}Daniel Bormann daniel and Tobias Greitemeyer. (2015)

ゲームのストーリー要素はプレイヤーの欲求充足感(PENS)と没入感を高めた。また、没入感はゲームのストーリー要素によるPENSへの影響を説明した。この結果から、ストーリーへの没入は、プレイヤーの意思決定をより豊かなものにすることが示唆された。 今回操…

{34}要約:Ron Tamborini, Nicholas David Bowman, Allison Eden, Matthew Grizzard, Ashley Organ. 2010

本研究は、楽しさに関連する高次の欲求を検討することを目的として、Ryan (2006)の研究をもとに実験を行ったものである。 Ryan (2006)は楽しさを欲求の充足と定義し、それを裏付ける4つの研究を行った。これは、ビデオゲームを刺激材料とした楽しさと欲求の…