「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

1:理論

{210}Fiorella, L., Mayer, R.E. 2016

生成学習理論を基盤とした、特に表出としての学習方略についてのまとめ。 Generative learning theory has its roots in Bartlett (1932) view of learning as an act ofconstruction, in which people invest effort after meaning by integrating new expe…

{207}Weinstein, C. and Mayer, R. (1986)

学習方略に関するレビュー。 It is strange that we expect students to learn yet seldom teach them about learning. We expect students to solve problems yet seldom teach them about problem solving. And, similarly, we sometimes require students…

{206}Sedikides C, et al. 2019

ナルシシズムのSDT的解釈。 ナルシスト。会話を支配する傾向や自己誇示の目的でSNS利用、注目と賞賛を渇望する。協調的ではなく、共感性・恥じらい・罪悪感に乏しい。退陣的なレンズをもって他者を蔑視し、また競合他社をさげすむ。親密さではなく自分を称賛…

{203}Halverson, Lisa R., and Charles R. Graham. 2019

ブレンデットラーニングにおけるエンゲージメントの定義をレビューも踏まえ提案したもの。 認知的・感情的関与に絞る。この2項目は他のエンゲージメントを対象とした研究にて頻繁に取り上げられ、また学習成果に影響を与えることが主な理由である。 以上は認…

{191}清水, 川邊, 海塚 2006

対人恐怖心性-自己愛傾向の二次元モデル尺度の短縮版作成の試み。 岡野(1998)は対人恐怖と自己愛の関係を「恥に対する敏感さ」と「自己顕示欲の強さ」の2つの独立変数で扱う必要性を論じ、この2次元からなる4タイプを想定した。これはGabbard (1989)で問われ…

{187}Sweller 2005

ワーキングメモリに関する概論。 Geary(2007; 2008; 2012)に則り知識を分類。言語能力や顔の識別や一般的な問題解決能力など進化論的な考え方において生存のために必須とタグづけられる知識を一次知識、学術的な知識やその他教養などその習得に社会的・文化…

{179}Mayer 2014

マルチメディアラーニングに関する概論。 Mayer and Morero (2003)は、意味のある学習をその教材に対する深い理解として定義している。深い理解をする、つまり充分に言語化することで教材の重要な側面を抽出し、既知と結び付け、知識として統合できる。マル…

{171}Abhishek Dutta and Andrew Zisserman. (2019)

VGG Image Annotator(VIA)の概論。 ひとことで言えば、ブラウザ上で稼働する画像・音声の要素抽出(アノテーション)ツールである。 HTML・Javascript・CSSのみを使用しており、特段セットアップも必要なく、400KBの要領で、サクサク動作、オフライン稼働…

{23}Schrader, C. (2023).

シリアスゲームとゲームベースラーニングへの所感。各ゲーム要素に関する見解も述べている。 ゲームの動機付け・認知・感情に与える影響は一様ではないことが、これまでの研究が示唆している。Mayer(2020)によれば、ゲームは学習者の動機付けを促進する可能…

{21}Karra, S., Karampa, V., Paraskeva, F. (2019)

SDTの理論的背景にしたゲーミフィケーションを用いた、研修生用のアプリの提案。 SDTに基づく教育シナリオを設計し研修生のモチベを上げることができるのか、またそのためにMoodleをどう改造すればいいかを議題とした。 "The Lord of the Ring"をテーマに用…

{168}ナカムラ マサアキ. (2001)

技術受容モデルTAMの概要とその問題点。 TAMはコンピュータの利用糸を説明するために作られた人間の行動意図モデルのこと。目標は「幅広いエンドユーザコンピューティング技術とユーザ層に対して、コンピュータ需要の決定的要因を説明すること、また簡便で理…

{167}Mayer, R. E., & Moreno, R. (2003).

マルチメディア理論、概論。 前提として3つの仮説を置く。人間の情報処理システムは聴覚情報・言語情報を処理するチャンネルと視覚情報・絵画情報(そして言語情報)を処理するチャンネルがあること。各チャンネルには容量限界があること。情報を理解するため…

{29}Granic, I., Lobel, A., & Engels, R. C. M. E. (2014)

ゲームの利点を認知・動機づけ・感情・社会の4つの側面からレビューしたもの。 ゲームの動機付け・認知的利点を特に調べている私でさえ、教育目的で利用することに多少の違和感というか、嘲笑いを知覚する。どこか、たかが娯楽と思えてしまう。あんなのただ…

{160}Richard M. Ryan, Edward L. Deci. (2019)

SDTの概論、2019年度版。 気になったところだけピックアップ。 内発的動機付けは現在、神経科学の証拠によって裏付けられている(Reeve & Lee 2018)。内発的動機付けに則って行動したとき、主要なドーパミン作動性経路または報酬系(Di Domenico & Ryan 2017)…

{158}Annetta, L. A. (2008).

シリアスゲーム・ゲームベースラーニングへの所感。 「ゲームってすげー人を意欲的にすんじゃん。せや、これを教育目的に利用すればみんな食いつくんじゃね?」という発想がゲームの教育的利用の根幹にある。この筋で行けば、じゃぁゲームが意欲的になる理由…

{148}Keller, 1987

ARCSモデルの概論。 ARCSモデルとは、特に教材利用や指導に関する動機付けの変動を言語化するために開発された実用に耐えるモデルであり、期待値理論を根源にする。なぜあの指導は魅力的なのか、どうすれば指導が魅力的になるのかを、4つの要素とそのサイク…

{134}中谷 智司 and 矢野 米雄. (1993)

PRGにおけるやる気の持続を促す要因の抽出を目的としたおしゃべり。 理論的背景がないため此方で適宜追加する。 RPGはシナリオ部・システム部・グラフィックス部・サウンド部に分類できるとし話を進める。 シナリオはメインシナリオ・サブシナリオからなり、…

{131}雨宮, 俊彦, 生田, 好重, 2008

反転理論の概論。 人間の動機付けを状況により変化するものとして捉え、変化するものと変化する要因を言語化する試み。感情と関連した動機付け研究であり、類似例にフロー理論が挙げられる。 反転理論は動機の構成要素を4つの軸に分類、どちらの極が強いかに…

{130}Richard M. Ryan, Edward L. Deci. (2000)

内発的動機付けと外発的動機付けの差分についてのレビュー。 主にCETで語られる内発的動機付けの特徴とOITで語られる外発的動機付けの特徴について説明される。CETやOITの概観は[76]、内発的動機付けの概要は[129]、内発的動機付けの促進-抑制については[125…

{129}鹿毛 雅治, (1994)

内発的動機付けの概論と系譜、性質について。 歴史。 内発的動機付けの概念は1930~40年代に主流だったHullの動因低減説やFreudの精神分析的本能理論に対する反論だとして出来たもの。この2つは「行動は性欲とか食欲とか本能的な欲求に基づいてのみ引き起こ…

{128}白石 よしえ, (2012)

予備校生に対する内発的動機付けの喚起に関する所感。 予備校生は心理的にかなり追い込まれている状態にあると推測。大学受験に落ちたという事実からくる負の負担。1年間で膨大な課題を捌くとともに、大学受験という競争に再び挑む外的因果への身の委ね。大…

{119}Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2014).

職場を題材とした自己決定理論に関する研究への所感。 基本的な概念と表出は職場においても通用する。心理的欲求の充足は職場満足度を上げ、より自律的な動機付けを予測し、意欲的・自律支援的な行為を促進し、離職率を下げ、感情的疲労を負に予測した。 Rya…

{110}Gunn, C. (2015).

オンライン学習に関する所感。 オンライン学習の強みを活かしている一例は放送大学の授業形態が挙げられるだろう(のっけから本文ガン無視)。オンライン学習の「制約のない授業閲覧」「課題の即時フィードバック」を最大限に利用している。 特に、授業課題の…

{109}Chue, K. (2015).

動機付けとビッグファイブの関係性について説いた論文。 CET・OITを基盤とした自律支援型の学習は、動機付けに対し一般的な効力を持つ。 ただし、自律支援型の学習はそれを行う教員の変数によってのみ決定するのではなく、それを受け取る生徒の変数も関わっ…

{102}Immersyve Inc. (2007)

プレイヤーの欲求充足の知覚(The Player Experience of Need Satisfaction:PENS)の概論。 プレイヤーは"何故"楽しさを知覚するのかに焦点を当て、その理由をSDT[76]の概念を用いて言語化したもの。基本的に、楽しさの表れは心理的欲求の充足からなるものであ…

{101}Klimmt, C., & Hartmann, T. (2006)

ゲームプレイの動機獲得のために有能感と自己効力感がいかに大事かを説く理論的考察。 ゲームは他のメディアコンテンツと比べてかなりコストがかかる娯楽である。意思決定の機会は比にならないし、プレイ環境を整えるのも一苦労である。また操作の記憶や世界…

{89}廣森 友人, (2014)

ダイナミックシステム理論の概論。 実践研究などでは動機付け理論に則った介入がトップダウン的に供給されており、実際の教室で発生している動機付けの問題と乖離が生じている可能性がある。また、動機付けの要因と表出の因果関係を特定するのは難しく、また…

{83}島田 英昭, 三和 秀平, (2020)

オンライン学習における動機付けを3つの理論から説いたもの。 動機付け論初級者にちょうどいい文章。報酬・期待・自律の観点から説いている。 報酬も有効な動機付けではなるが、外発的動機付けに属し、効力は短期的である。それを理解した上で、段階的な目標…

{86}解良 優基, 中谷 素之 (2019)

期待-価値理論の概要と近年の傾向について。 期待価値理論は、特定の水準で課題を成し遂げようとする心理現象である達成動機付けを説明する、古典的な枠組みの1つ。有名なのはAtkinsonらのモデルとEcclesらのモデル。 Atkinsonのモデルは、達成動機=(成功動…

{80}石田 潤 (2010)

フロー理論(Csikszentmihalyi, 1975; 1990; 2003)の概論。 「フロー」とは没入状態、すべての意識が目の前の活動に向き、その遂行をまるで流れのように知覚する現象のことを指す。 フロー理論とは内発的動機付けを説明するための理論の1つであり、「楽しさ」…