「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

2:自己決定理論

{206}Sedikides C, et al. 2019

ナルシシズムのSDT的解釈。 ナルシスト。会話を支配する傾向や自己誇示の目的でSNS利用、注目と賞賛を渇望する。協調的ではなく、共感性・恥じらい・罪悪感に乏しい。退陣的なレンズをもって他者を蔑視し、また競合他社をさげすむ。親密さではなく自分を称賛…

{190}Rhiannon Lee White, et al. 2021

体育授業におけるSDT研究の実態、欲求充足/不満が何をもたらすかなどをレビューしたもの。 最終サンプルは34本。1999年から2020年の間に発表され、7~19歳までを対象、総サンプル数はn=1555。インタビュー形式が21%、観察研究18%、調査法18%と続く。 ピ…

{189}April Tyack, Elisa D. Mekler, 2020

HCI研究におけるSDT引用の実態をレビューしたもの。 HCI Human Conputer Interaction。この領域の研究目的の1つに、プレイヤーとコンピューターの相互作用を構成するものを理解することがあり、より魅力的な体験の提供、またエンターテインメント以外の関与…

{173}Billieux, Linden, et al. 2013

MMORPGのプレイ動機と実際の行動についての縦断的分析。 18歳以上のフランス語圏World of Warcraftプレイヤー対象、最終的なサンプルは690名、大多数(87.10%)が男性。アンケート実施期間は2010年6月~2010年12月7日。縦断的データ収集は2011年2月14日~20日…

{172}Yee 2006

自己決定理論を基盤としたプレイヤーの動機の抽出。達成・没入・社会の3動機はここから。 Bartle(2004)のタイプと質問票をもとに、プレイヤーの動機に関する40の質問票を作成、リッカート尺度5段階。EverQuest, Dark Age of Camelot, Ultima Online, Star Wa…

{35}Dindar & Akbulut 2014

MMORPGのトルコプレイヤーの動機傾向、Yee(2007)の追試的機能も持つ。 トルコのMMORPG2社に協力依頼、プレイヤーである307名(女性2.1% 平均19.36歳)が最終サンプルとなった。回答期間は2週間、自己申告式。 尺度。Yee(2007)の動機付け尺度、トルコ語翻訳し…

{31}Elham Akbari, Albert Pilot, P. Robert-Jan Simons. (2015)

Facebookを用いた英語の通信授業の有用性を実験、自己決定理論の観点から分析したもの。 イランの博士課程の学生40名を対象、一般に英語を話すのはためらわれ、相対難度はたかめらしい。 実験群。Facebookで作成したグループページとSkypeを使い、1日1時間、…

{27}Azadvar, A., Dalqvist, E. (2020)

ゲームプレイとその動機付けの年齢差について調査したもの。 RPGゲーム「The Division 2」のうち、過去2週間に1時間以上プレイしたプレイヤーを対象。青年期(n=1664 平均19.51)、成人期(n=4297 Mean= 30.12)、壮年期(n=1856 Mean= 44.67)、高齢期(n=303 Mean…

{21}Karra, S., Karampa, V., Paraskeva, F. (2019)

SDTの理論的背景にしたゲーミフィケーションを用いた、研修生用のアプリの提案。 SDTに基づく教育シナリオを設計し研修生のモチベを上げることができるのか、またそのためにMoodleをどう改造すればいいかを議題とした。 "The Lord of the Ring"をテーマに用…

{20}Tsai-Hsuan Tsai, Yung-Sheng Chang, Hsien-Tsung Chang, Yu-Wen Lin. (2021)

SDTとTAMを用いてゲーミフィケーション効力を説明しようとした実験。 18-35歳の参加者150名対象、50.6%男性。75名が運動・75名が観戦の役割を担い、2人1組で実験を行う。観戦者は屋内の実験室、運動者は屋外のジョギングできる空間にて実行。タスク終了時…

{19}Anesa Hosein.(2019)

女子におけるSTEM学位取得状況とゲームプレイの傾向の関係を探った調査。 2次データアプローチ、すでに集計された統計情報を用い仮説を検証する方法を用いる。英国経済社会研究評議会ESRCが資金提供するプロジェクトの1年間の横断的調査と、13~19歳の青少年…

{160}Richard M. Ryan, Edward L. Deci. (2019)

SDTの概論、2019年度版。 気になったところだけピックアップ。 内発的動機付けは現在、神経科学の証拠によって裏付けられている(Reeve & Lee 2018)。内発的動機付けに則って行動したとき、主要なドーパミン作動性経路または報酬系(Di Domenico & Ryan 2017)…

{159}Johannes Niklas, Vuorre Matti and Przybylski Andrew K. (2021)

客観的なプレイ時間と主観的幸福の関係を調査したもの。 Plants vs. Zombies: Battle for Neighborvilleプレイヤー518人(男性404人)とAnimal Crossing: New Horizons(あつ森)プレイヤー6011人(男性3124人)のデータを有効回答として使用。オンラインアンケー…

{150}Ryan Rogers. (2017)

ゲームの楽しさと心理的欲求の関係を図りたかったのにゲームを用いなかったせいでなんかよくわかんないことになった実験。 仮説群。1:フィードバック重視のゲームは有能感充足を正に予測。2:同じく、認知的負荷の感情を正に予測。3:自由度が高いゲームは自律…

{149}Kuan-Chung Chen, Syh-Jong Jang. (2010)

オンライン学習における動機付けのSDT的説明のための調査。 資格取得のためのオンライン授業参加者n=262(平均37.80歳 女性78.1%)対象。 完全オンラインコース。ライブチャットシステム、Officeソフト、Adobeソフトなどを活用。コンテンツを読み、クイズを完…

{143}Deniz Eseryel, Victor Law, et al. (2014)

ゲームベースラーニングと生徒の関与、問題解決能力との関連を実験したもの。要検証。暫定的に失敗例として配置する。 仮説群。1:ゲームプレイ中の興味の程度について、複雑な問題解決シナリオは生徒の関与に正の効果をもたらす。2:有能感充足が、同じく効果…

{138}Ramine Tinati, Markus Luczak-Roesch, et al. (2017)

市民科学ゲームの参加動機・継続動機を調査したもの。 人間のニューロンをマッピングする市民科学ゲーム「Eyewire」のプレイヤーを対象。このゲームの目的はニューロン解析による研究者への貢献である。ポイント・リーダーボード・競争・統計要素・進捗・チ…

{126}Reeve, J., & Jang, H. (2006)

巷で言われる自律性支援/支配的スタイルの指導が真に生徒の自律性知覚に影響を与えているかを実験、またその特徴を列挙したもの。 米国中西部の大学の教員資格プログラム在籍の同性教員72組(女性62組)対象。片方が生徒役、片方が教員役を務め、パズル課題の…

{124}桜井 茂男 (2003)

親からの自律性援助の知覚と子の因果志向性の関係について調査したもの。 大学生229名(男性93名)対象。親からの自律性援助・因果志向性・TK式親子関係調査の「干渉」に属する項目を質問。 結果。父親からの自律性援助と自律志向は正の相関(.17 p<.05)、動機…

{122}黒田 祐二, (2022)

自律性支援の知覚と内在化の度合いの関係についての体系的なレビュー。 American Psychological AssociationのPsycINFOに以下の検索式を打ち込む。(“autonom* support*” OR “support for autonomy” OR “needs support”) AND (prosocia* OR moral* OR friend*…

{121}西村 多久磨, 河村 茂雄, 櫻井 茂男 (2011)

動機付けのメタ認知方略を介した学業成績への影響を調査したもの。 まずSRQ(Self-Regulation Questionnaire; Ryan and Connell 1989)を軸とした自己決定理論に基づく学習動機尺度、自律的学習動機尺度を新たに作成。内的調整・同一視的調整・取入れ的調整・…

{119}Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2014).

職場を題材とした自己決定理論に関する研究への所感。 基本的な概念と表出は職場においても通用する。心理的欲求の充足は職場満足度を上げ、より自律的な動機付けを予測し、意欲的・自律支援的な行為を促進し、離職率を下げ、感情的疲労を負に予測した。 Rya…

{118}Przybylski, A. K., et al. (2014)

ゲームプレイによる短期的攻撃性の発現と心理的欲求の関係について実験・調査したもの。 「はいクソー。二度とやらんわこんなクソゲー」を真面目に取り扱った研究。正確に言えば、今まで暴力的描写により起こされていたとする攻撃性を、ゲームプレイによる欲…

{116}Oliver, M. B., et al. (2016)

ゲームが快楽以外のものをもたらすかを調査したもの。 具体的にいうなら、「Heavy Rain」や「Detroit: Become Human」のプレイ体験が何をもたらすかを明記した研究である。これらはCET定義の心理的欲求の充足やフロー状態のような単純な楽しさというよりかは…

{115}Andrew K. Przybylski, et al. (2009)

日々の欲求充足の情熱を介したゲームプレイへの影響を調査したもの。 情熱の二元論的モデル(Vallerand et al. 2008)を採用。完全な内面化がもたらす調和的な情熱と、不完全な内面化がもたらす強迫的な情熱が、ゲームプレイの楽しさにどう作用するのか。また…

{113}Bettencourt, B. A., & Sheldon, K. (2001)

集団において関係性と自律性の欲求が同時に満たされるかを確かめた調査・実験。 むかしむかし、関係性と自律性は互いに阻害し合う関係だと思われていた。集団は意思決定を妥協させる存在であり、意思決定の強調は集団との別離を引き起こすと考えられていた。…

{17}Nannan Xi, Juho Hamari. (2019)

ゲーミフィケーションが本当に心理的欲求を充足しているかを調査したもの。 ゲーミフィケーションは心理的欲求の充足を介して好影響をもたらす、という暗黙の前提みたいなものがあるが、この前提の真偽を確かめた研究は少ない。大体の研究はゲーミフィケーシ…

{109}Chue, K. (2015).

動機付けとビッグファイブの関係性について説いた論文。 CET・OITを基盤とした自律支援型の学習は、動機付けに対し一般的な効力を持つ。 ただし、自律支援型の学習はそれを行う教員の変数によってのみ決定するのではなく、それを受け取る生徒の変数も関わっ…

{106}Przybylski, A. K., Ryan, R. M., & Rigby, C. S. (2009).

暴力的描写が短期的な楽しさに関わっているかを検証したもの。 ESRBレーティングを参照に暴力的描写をランク付け。自分の好きなゲームとそれに対する体験を質問票で答えてもらったStudy 1。暴力的なゲームを遊んだ時の楽しさとか攻撃性とかを計測したStudy 2…

{105}Ryan, R.M., Rigby, C.S. & Przybylski, A. (2006)

ゲームプレイによる楽しさを自己決定理論の言葉で説明できるかを検証した実験。 ゲームする前とした後で質問紙記入してもらって、心理的欲求充足が楽しさを媒介するかを確かめたStudy 1。評価が異なるゲームをプレイしてその楽しさの差分が心理的欲求で説明…