「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{99}Christian Burgers, et al. (2015)

教育用ゲームの動機付けにフィードバックがどう絡んでいるのか、またその構成要素の詳細を実験で確かめたもの。

 

脳トレライクなゲームを用いる。2(フィードバックの正/負)×3(記述・比較・評価フィードバック)の6条件に割り振り。157名(女性109名 平均32.07歳)を対象。欲求充足、内発的/外発的動機付け、フィードバックに対する印象、ゲームプレイの継続について質問。フィードバックの印象について、特にフィードバックの擬人的知覚等については有意な相関がみられなかったため、以後省く。

 

結果、肯定的なフィードバックは自律性と有能感の充足を介し内発的動機付けを高め、内発的動機付けがゲームプレイの継続を強く予測した。特に継続的なゲームプレイの続行。外発的動機付けとゲームプレイの継続に有意な相関は見られなかった。

否定的なフィードバックを受けた人は、継続的なゲームプレイの続行ではなく即時的なゲームプレイの続行を望む傾向が見られた。有能感の一時的な欲求不満による、欲求充足のための行動の強化によるもの(Reinecke et al. 2012)だと推測される。「できなかった、くやしい、今度こそは」

フィードバックの形態は基本的に評価フィードバック、プレイヤーが優れているかそうでないかを具体的に表示するフィードバックが好ましい。比較フィードバック、他者との成績を参照にプレイヤーがどれだけ優れているかを表示する形態もフィードバックとして機能はするが、競争や社会的な圧を知覚する可能性がある。

 

これは1回の試行によるもの。つまり短期的な効力である。特に一時的な欲求不満からの回復を目的としたプレイの継続は、欲求不満が継続的に与えられたとき失効すると予測される。短期的効力においては有能感充足-動機付けのパスは絶対ではなく、欲求不満-動機付けのパズも有意になると思われる。この時の動機付けは「自身の統合をすすめる」SDTの根源的仮設を前提とした場合、内発的動機付けに位置ずる。

フィードバック介入理論Feedback-Intervention-Theory(FIT)(Kluger & DeNisi 1996)なるものがあるという。フィードバックをどのように認知し、どのように解釈するかでその効力が異なることを説くものらしい。今度調べてみよ。

あと指標はいつもの自己申告式の下り。サンプルの文化的偏りも考慮。

 

 

参考文献

Christian Burgers, Allison Eden, Mélisande D. van Engelenburg, Sander Buningh. How feedback boosts motivation and play in a brain-training game. Computers in Human Behavior, Volume 48, 2015, Pages 94-103,