「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{105}Ryan, R.M., Rigby, C.S. & Przybylski, A. (2006)

ゲームプレイによる楽しさを自己決定理論の言葉で説明できるかを検証した実験。

 

ゲームする前とした後で質問紙記入してもらって、心理的欲求充足が楽しさを媒介するかを確かめたStudy 1。評価が異なるゲームをプレイしてその楽しさの差分が心理的欲求で説明できるかを確かめたStudy 2。いろんなジャンルを遊んでもらって、その楽しさの差分を心理的欲求で説明できるかを確かめたStudy 3。MMORPGのプレイ動機を心理的欲求で説明できるかを確かめたStudy 4。

結果。ゲームプレイによる楽しさは心理的欲求の充足を介したパスで説明可能である。特に自律性と有能感の充足は4つの研究を通して共通した。関係性の充足も有意ではあったが、MMORPGという1つのジャンルでの検証結果であり、異なるジャンルで関連性充足が楽しさを媒介するかはこの実験だけではわからない。

Study 3の方で、ゲームジャンルによって心理的欲求充足にばらつきが生じ、それがゲームジャンルの楽しさ、ひいては選好(将来プレイするゲームジャンル)を予測した。が、これらの結果は『なぜ』ばらつきが生じているかを説明するものではない。

Study 2の方で、直観的操作と楽しさの関係は、心理的欲求が充分である文脈においてのみ、つまり面白いゲームの方でのみ有意であった。『選択の自由{79}』と同じような下りだろう。直観的操作はそれ自体がファクターとなるのではなく、直観的操作に対する明確なフィードバックがあって初めて有意となるのかもしれない。

 

色んな所に顔を出す、ゲームと動機付けの関係をきちんと考察した重要な研究。

細かい指摘とかは{34}参照。

 

 

参考文献

{105}Ryan, R.M., Rigby, C.S. & Przybylski, A. The Motivational Pull of Video Games: A Self-Determination Theory Approach. Motiv Emot 30, 344–360 (2006).