「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{55}Dave Westwood and Mark D. Griffiths. (2010)

プレイヤーがどういった動機を以てプレイしなにを重要視しているか、またプレイヤーのゲームの選り好みについて調査。

 

結果、選り好みのタイプについて、6タイプが抽出できた。

タイプA。特にストーリー・世界観の理解を目的にプレイし、目的達成のためにレベルアップなどの時間を費やす。シングルプレイゲームを好む。

タイプB。ゲームを社会的な娯楽として扱い、マルチプレイを重視した。ソーシャルマルチプレイゲームを好む。

タイプC。ゲームを通じた新しい対人関係の構築を目的とする。ライトユーザーな振る舞いを見せ、1つのゲームに熱中するということはない。1ゲームの時間が短いものを好む。

タイプD。ゲーム内集団への帰属を重視し、集団の勝利への貢献を動機とする。またゲーム外からもたらされる報酬を重視した。特徴的なサウンドトラックを持つ、或いは音楽ベースのゲームを好む。

タイプE。プレイヤーの選択によりゲーム内世界が揺さぶられるような(自由度の高い)環境を求める。週平均プレイ時間が6タイプ中最も多い。コンテンツ量の多いRPGなどを好む。

タイプF。時間がある時に、暇つぶしのためにプレイする。週平均プレイ時間が最も短く、時間を忘れてゲームをするという体験に乏しい。

タイプEを除き、より高レベルのグラフィックと音質を求める傾向にあった。リーダーボードに代表される競争要素はタイプDのみが重視していた。

 

タイプAとタイプEはどちらもRPGを好むが、プレイの方針が若干違う。タイプAはストーリーの理解を目的としているため、選択肢やできることの制限をあまり気に留めず、やりこみ要素もできるだけ追おうとする。タイプEはとにかくやりこむタイプ、やりこみ要素も全部追う。またタイプEは複数の攻略方法が提示されている中で、選択の自由を手に入れられる状況を最も好むと思われる。なおどちらも時間を忘れてプレイする傾向にある。

タイプCはたぶんパーティーゲームとか好きだと思う、ゲームを介した交流を重視する傾向にあるから。

タイプDはMMORPGとかバトルロワイヤルゲームなどの、競争要素の強いゲームを好むと思われる。

タイプBとタイプFは想像できない。

 

今回発見した6タイプの定義・特徴を追試で固めて、そのあと各タイプの相関や動機の重複を調べたい。縦断的分析を立ち上げて、タイプの変遷やそのきっかけなんかが追えたら面白そう。またゲームプレイを代替的欲求として扱う傾向にあるタイプはどれなのかも気になる。

 

参考文献

Dave Westwood and Mark D. Griffiths. The Role of Structural Characteristics in Video-Game Play Motivation: A Q-Methodology Study. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking.Oct 2010.581-585.