「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{74}Przybylski, A. K., Rigby, C. S., & Ryan, R. M. (2010)

ゲームがなぜ人々を魅了しているかをSDTの観点から説明する試み、をレビューしたもの。

 

結論として、SDTが定義する心理的欲求の充足は、ゲームの楽しさの強固な要因である

ゲームの楽しさのより一般的な部分、例えば直観的な操作や選択の余地などはプレイヤーの幸福感を予測し、これはCETの主張と一致する(Ryan and Rigby 2006){34}。逆説的に、これらの余地が奪われたゲームプレイは幸福感をもたらさない{67}{73}。

暴力的描写はそれ自体が幸福感をもたらしているわけではない。暴力的描写による楽しさは、それを構成する各要素による欲求充足に還元できる。また攻撃性との関連については、長期的な効力が分からず、また因果関係も定かではない{68}{70}。

操作の複雑性などの欲求阻害要因は攻撃性を増加させ、また幸福感の低下と関連した。直観的な操作などに基づく欲求充足要因は攻撃性を低下させ、また幸福感の向上と関連した。欲求阻害によるフラストレーション。

日常的に欲求充足している人はゲームを愉快な娯楽として扱い、日常的に欲求が阻害されている人はゲームプレイを代替欲求として扱いプレイに対し強迫的観念を持つ{60}。ゲームの不適応なプレイは欲求阻害の結果であることが示唆されている。あとプレイ時間は不適応的なプレイの指標としては機能せず{59}、ゲームプレイの動機がこれを予測する。

心理的欲求の充足は没入感を高める。また、一定以上の没入は、現実世界におけるゲーム世界要素の引用を発生させる(Weinstein et al. 2009)。

プレイヤータイプの分類。プレイヤーの個人的要素により、ゲームへの接し方やプレイ時間、選好ゲームなどがかなり異なる{55}{57}{61}。

 

研究の多くは自己申告に基づくものであり、また短期的効力に注目している。

 

 

参考文献

Przybylski, A. K., Rigby, C. S., & Ryan, R. M. (2010). A Motivational Model of Video Game Engagement. Review of General Psychology, 14(2), 154–166.