「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{70}Adachi, P. J. C., & Willoughby, T. (2011)

今までの研究でビデオゲームの暴力的描写で喚起されてきたとされる短期的な攻撃性は、同じく競争的要素によって喚起された可能性がある。
競争・行動ペース・難易度を統制し暴力的描写のみ差分を設けた2条件比較の際、ホットソースパラダイムのスコアに有意な差はなかった。暴力的描写と競争的要素の2×2条件で行った時、競争的要素が高い2つのゲームはホットソースのスコアが優位に高かった。

今回用いた攻撃性の指標はホットソースパラダイム。実験環境外で計測した攻撃性との直接的な関係性は示されてないが、攻撃性指標として収束的妥当性が裏付けされている。特性攻撃性とホットソースのスコアの相関は取っているが、数が少ないため有意な相関を示さなかった。

 

{68}に対応。

暴力的な描写が多い、いわゆる過激なゲームとされるものは競争的要素を多く含んでる可能性があり、この競争的要素が短期的な攻撃性を喚起しているかもしれない。今後の研究次第では、暴力的描写と攻撃性はアイスクリーム相関の仲間入りを果たすかもしれない。

先行研究の、暴力的なゲームとして選ばれたタイトルの競争的要素の含有量が気になる、追試してもいいかも。また長期的な効果は証明できない。サンプルサイズの小ささと狭さも限界として挙げられる、今回は大学生を対象とした。もっと般的な攻撃性指標と組み合わせて図るのもいいかも。今回はGAMを採用、生理的興奮が組み込まれているため、競争性に反応した可能性がある。他の2つの要素の絡みや相互作用も気になる。

 

 

参考文献

Adachi, P. J. C., & Willoughby, T. (2011). The effect of video game competition and violence on aggressive behavior: Which characteristic has the greatest influence? Psychology of Violence, 1(4), 259–274.