「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{97}Nick Yee, et al. (2012)

ゲームの動機付けの3因子モデルの追加検証。

Yee (2007)の妥当性確保のための検証。

 

指標は3因子を直接抽出しているわけではなく、下位10項目を評価しているため、これの改善として12項目(1因子につき4項目)による評価を行う。→パイロット調査を経たのちに米国WoWプレイヤーn=2071(fe =709)にて検証。12項目は最低でも.50以上の因子負荷量を示した。社会因子と達成因子は.24の相関、没入因子は達成因子と-.21の相関。男性は達成因子に正の相関を、女性は負の相関を示した。達成動機は年齢が低いことと相関。

 

Yeeの指標は英語圏のサンプルを用いて作られたものであり、他の文化圏ではどうなるかがわからない。また自己申告と実際の行動データとの紐付けも行われていない。→追加でHKとTWより計645名(fe =128)が参加。行動データはWoWの統計データを使用、6つのカテゴリに分類され、相関を計測。行動データの集積には米国から500名、HK,TWから500名が対象。達成因子はPvPマルチプレイと正の相関、クエスト・探索要素と負の相関。社会因子はマルチプレイ因子と正の相関、クエスト・熟達目標と負の相関。没入因子はクエスト・探索要素と正の相関、PvPマルチプレイと負の相関。その他は有意な相関とは言えない。

サンプルがオンラインゲームプレイヤーに限られること、WoWの構成要素により没入因子と行動相関が全体的に弱くなったことを鑑みても、3因子構造は汎用性に富んだ指標と言える。

 

達成因子中心のプレイヤーはかなり偏りが見られる。PvPマルチプレイにのめり込み、それ以外を必要としていない感じ。社会因子中心のプレイヤーは有意な正の相関がマルチプレイのみ、イベントも正の相関だが有意ではない。没入因子は達成因子と真逆、クエスト・探索・熟達・イベントに熱心でありマルチ要素にはあまり目がない。

達成因子と没入因子とでは選好ゲームジャンルがかなり異なりそう。→3因子ごとの選好の傾向。

 

 

参考文献

Nick Yee, Nicolas Ducheneaut, and Les Nelson. 2012. Online gaming motivations scale: development and validation. In Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '12). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 2803–2806.