「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

自律性・自律性支援

{149}Kuan-Chung Chen, Syh-Jong Jang. (2010)

オンライン学習における動機付けのSDT的説明のための調査。 資格取得のためのオンライン授業参加者n=262(平均37.80歳 女性78.1%)対象。 完全オンラインコース。ライブチャットシステム、Officeソフト、Adobeソフトなどを活用。コンテンツを読み、クイズを完…

{126}Reeve, J., & Jang, H. (2006)

巷で言われる自律性支援/支配的スタイルの指導が真に生徒の自律性知覚に影響を与えているかを実験、またその特徴を列挙したもの。 米国中西部の大学の教員資格プログラム在籍の同性教員72組(女性62組)対象。片方が生徒役、片方が教員役を務め、パズル課題の…

{125}岡田 涼, (2007)

CET観点からの内発的動機付けのまとめと、教員の自律性支援と生徒の動機付けスタイルの交互作用について調査したもの。 内発的動機付けに関する初期の研究は、これを促進-抑制する要因の探求にあった。 有名なのは報酬の効力、Deci (1971)をきっかけに議論が…

{122}黒田 祐二, (2022)

自律性支援の知覚と内在化の度合いの関係についての体系的なレビュー。 American Psychological AssociationのPsycINFOに以下の検索式を打ち込む。(“autonom* support*” OR “support for autonomy” OR “needs support”) AND (prosocia* OR moral* OR friend*…

{113}Bettencourt, B. A., & Sheldon, K. (2001)

集団において関係性と自律性の欲求が同時に満たされるかを確かめた調査・実験。 むかしむかし、関係性と自律性は互いに阻害し合う関係だと思われていた。集団は意思決定を妥協させる存在であり、意思決定の強調は集団との別離を引き起こすと考えられていた。…

{105}Ryan, R.M., Rigby, C.S. & Przybylski, A. (2006)

ゲームプレイによる楽しさを自己決定理論の言葉で説明できるかを検証した実験。 ゲームする前とした後で質問紙記入してもらって、心理的欲求充足が楽しさを媒介するかを確かめたStudy 1。評価が異なるゲームをプレイしてその楽しさの差分が心理的欲求で説明…

{102}Immersyve Inc. (2007)

プレイヤーの欲求充足の知覚(The Player Experience of Need Satisfaction:PENS)の概論。 プレイヤーは"何故"楽しさを知覚するのかに焦点を当て、その理由をSDT[76]の概念を用いて言語化したもの。基本的に、楽しさの表れは心理的欲求の充足からなるものであ…

{100}Reinecke Leonard, et al. (2012)

心理的欲求の充足/阻害がゲームプレイの選択にどうかかわっているか、欲求阻害の回復行為が現れるかを実験で確かめたもの。 米国中西部の大学生111名(男性28名 平均19.96歳)対象。フライトシミュレーターを使用。あらゆる操作が求められる高条件・速度や舵の…

{99}Christian Burgers, et al. (2015)

教育用ゲームの動機付けにフィードバックがどう絡んでいるのか、またその構成要素の詳細を実験で確かめたもの。 脳トレライクなゲームを用いる。2(フィードバックの正/負)×3(記述・比較・評価フィードバック)の6条件に割り振り。157名(女性109名 平均32.07歳…

{88}桜井 茂男, (1984)

CET(Deci 1975)で問われた報酬-欲求-充足-動機付けの関係を掘り下げたもの。 SEMモデル(Self-Evaluative-Motivatiom-Model)について記述。 自律性と有能感はそれぞれ独立した要因であり、報酬の構成要素によりどちらがどれぐらい充足されるかが異なる。 実験…

{81}三和 秀平, 外山 美樹 (2021)

教員の動機付けと子供の動機付けの関連、および自律性支援の媒介効果を検討する。 結果として、教科指導学習動機(三和・外山 2015)のうちの子ども志向は、教師が認知する自律性支援と正の相関を示し、子の認知する自律性支援を媒介してこの内的調整に正の相…

{79}岡田 涼 (2009)

OITにおける「隣り合う動機付け間には強い相関がみられる」を検証したメタ分析。 確かに「隣り合う動機付け間には強い相関がみられる」が、その幅や相関パターンに具体的な証拠がないため、必然的に妥当性が低下している。あとOITは動機付けの軸を相対的自律…

{71}二宮 理佳.(2022)

学習者視点による自律性獲得の推移を具体的に捉えたい質的研究。 大学留学生12名を対象。課外活動にて課題を課す。目的は日本語リスニング力の向上、大学の講義を聞き取れるようになるのが最終目標とした。週1回に内省提出を課した。大枠と方向性を共有し、…

{72}Terje Slåtten, Barbara Rebecca Mutonyi & Gudbrand Lien. (2020)

医療機関において、上司のリーダーシップがPsyCapの充足に繋がり、それが創造力の確保をもたらし、結果的に日常的なアイデアの表出に繋がっていることが示唆。 PsyCapは心理的資源、自己肯定感・効力感・レジリエンス・楽観主義からなる。これらの心理的資源…

{69}Maier, S. F., & Seligman, M. E. (1976)

学習性無力感に関する実験結果のレビュー。 学習性無力感とは生物一般にみられる現象で、自分ではどうしようもない刺激にさらされ続けると発生する無力感のこと。刺激の強度や頻度に関係なく、回避不能という事実が発生に関係する。無力感は刺激回避のための…

{67}Sebastian Deterding. (2016)

ゲームプレイは、CETにより定義される自律性阻害の条件によって、統制的動機が伴うようになる。 以前からまとめていた、選択の余地を代表とする自律性の担保と強制の文脈の違いが「ゲームと宿題の違い」、という主張を支持する質的研究。 具体的には、ゲーム…

{63}Patall, E. A., et al. (2018)

教員による日常的な自律性支援は日ごとの自律性動機付けとエンゲージメントの増加を予測し、同じく教員による日常的な自律性阻害は日ごとの統制的動機付けと不快感の増加を予測した。また興味のない活動の押し付けは日々の自律性動機付けと関与の減少を予測…

{62}Jang, H., Reeve, J., & Deci, E. L. (2010)

教員が提供する自律支援と構造[Structure]は正の共分散(36%共有)の関係にあり、両方とも生徒の授業に対するエンゲージメントと正の相関を持っている。なお、エンゲージメントのクラス平均と構造には有意な相関がみられたが、個人のエンゲージメントと構造に…

{56}Bakkes, S.; Tan, C.T.; Pisan, Y. (2012)

Personalized Gamingと呼称される、ゲーム側がプレイヤーの特性に応じてその内容を逐次変化させる使用について、その概要と動機、またゲームのどの部分にこの仕様を適応させるかについて議論している。 著者は、この仕様によりプレイヤーの性格や特性などを…

{53}Hyungshim Jang, Johnmarshall Reeve, Marc Halusic. (2016)

生徒が好む授業形態を聞き出し、それを実行した結果、同時に聞き出した好ましくない授業形態よりも自律性充足・エンゲージメント・学習成果が比較的高かった。 この示唆を裏付けるためには、別のサンプル、別の科目において同様のことを行い、"生徒が選択し…

{51}Richard M. Ryan, Edward L. Deci. (2006)

SDTのうち、意思決定の権限、または意思決定のための情報を要求する欲求である自律性に関する議論点とそれに対する反論をまとめた論文である。読み返し推奨。というかいまいち把握しきれてない。 自律性の存在証明。因果関係、病理的証拠、神経的メカニクス…

{52}Tsai, Y.-M., Kunter, M., Lüdtke, O., Trautwein, U., & Ryan, R. M. (2008)

日常的な授業での学習に対する学生の興味経験(個人的・状況的問わず興味が誘発した状態)には大きなばらつきがあり、そのばらつきは自律支援的な環境、支配的な問いかけ(負)、理解のしやすさに配慮した文脈などの因子にて予測できる。また、個人的興味によっ…

{50}Xue-hua Bao, Shui-fong Lam. 2008

「選択の欠如が動機付けを低下させない場合が存在するが、それは周囲の親しい人との関係性が充足されているため、『集団に属する人』として納得しているから。これにより、選択の自由は自律性のみで担保されるものではない」 今回の文献では、選択がある状態…

{46}Daniel Bormann daniel and Tobias Greitemeyer. (2015)

ゲームのストーリー要素はプレイヤーの欲求充足感(PENS)と没入感を高めた。また、没入感はゲームのストーリー要素によるPENSへの影響を説明した。この結果から、ストーリーへの没入は、プレイヤーの意思決定をより豊かなものにすることが示唆された。 今回操…

{48} 島 義弘,馬 暁玲,稲垣 勉 (2020)

大学生を対象に調査したところ、授業選択の自由度が大きい科目では内的調整の傾向が、授業選択の自由度が低い科目では外的調整の傾向が見られた。年齢を調整しても差は有意であった。 認知評価理論で語られるような自律性の充足が授業における動機付けの傾向…

{30}要約:Thomas K.F.Chiu. 2021

本研究は、SDTで言及された心理的欲求を支援するための一連の技術的学習環境デザインを提案、この案が教員によるサポートよりも学生のブレンデッドラーニングへの関与を高めるかどうかを検証するものである。 学生の学習への関与は多次元的な概念であると考…