「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{173}Billieux, Linden, et al. 2013

MMORPGのプレイ動機と実際の行動についての縦断的分析。

 

18歳以上のフランス語圏World of Warcraftプレイヤー対象、最終的なサンプルは690名、大多数(87.10%)が男性。アンケート実施期間は2010年6月~2010年12月7日。縦断的データ収集は2011年2月14日~20日。参加者の半数は就職者(54.9%)であり、ほとんどの人が自宅でプレイ(99.7%)、4年以上プレイしている人が43.5%、週当たり平均時間は25.17時間(SD=15,61)。

質問票。MPOGQ(Yee 2006)、IAT(Khazzal et al. 2008)。行動指標、PvE・PvP・ロールプレイ・ロールプレイPvPの4つのサーバーのうちどれを好むか、ギルドへの所属状況、ゲーム内行動(一般ステータス・探索・PvP・ダンジョン攻略・職業・評判・イベント参加)、またその他の行動指標(クエスト進捗・探索成果・PvP成果・ダンジョン成果・非必要関連行動)。縦断的分析のために、達成した総数に依存する指標・PvP成果指標・ダンジョン成果指標が収集。

 

結果。相関はp<.00028の基準にて有意とする。

年齢が若いほどゲーム進捗に熱心である。また男性・若年であるほど達成動機の傾向、女性・年配であるほど探索動機の傾向にあった。

週当たりプレイ時間は達成動機・構造分析・競争動機・関係動機・カスタマイズ動機・逃避動機により予測された。継続的なプレイ傾向は構造分析のみ関連していた。

ネットカフェでプレイする人は達成動機と競争動機が強い傾向、自宅でプレイする人にはそういった傾向は見られなかった。

IATで測定される中毒的使用パターンは、達成動機と逃避動機において有意であったが、次点で構造分析・カスタマイズ動機にも関係が見いだされた。逃避動機と病的利用、問題行動の相関はirály O, Urbán R, et al. (2015)でも報告されている。

ゲーム内進捗(Total Progression)は達成動機・構造分析、また探索動機や関係動機と相関。クエスト進捗と探索成果は探索動機により予測。ダンジョン成果は達成動機・構造分析・関係動機・協働動機と相関。ロールプレイ動機・カスタマイズ動機・逃避動機は特定のゲーム内成果とは無関係だった。ギルドへの参加は社会動機の3つが相関を示した。

競争動機はPvPサーバーに入り浸り、PvEサーバーには入らない傾向にあった。

縦断的分析の結果。ゲーム進捗は探索動機・協働動機・ギルドへの所属・週当たりプレイ時間により予測された。PvP傾向は競争動機よりも若年によりよく予測された。協力的プレイによる成果は、協働動機・探索動機・ギルドへの所属・週当たりプレイ時間により正に予測され、カスタマイズ動機により負に予測された。

 

 

参考文献

Joël Billieux, Martial Van der Linden, Sophia Achab, Yasser Khazaal, Laura Paraskevopoulos, Daniele Zullino, Gabriel Thorens. Why do you play World of Warcraft? An in-depth exploration of self-reported motivations to play online and in-game behaviours in the virtual world of Azeroth, Computers in Human Behavior, Volume 29, Issue 1, 2013, Pages 103-109, ISSN 0747-5632, https://doi.org/10.1016/j.chb.2012.07.021.