「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{150}Ryan Rogers. (2017)

ゲームの楽しさと心理的欲求の関係を図りたかったのにゲームを用いなかったせいでなんかよくわかんないことになった実験。

 

仮説群。1:フィードバック重視のゲームは有能感充足を正に予測。2:同じく、認知的負荷の感情を正に予測。3:自由度が高いゲームは自律性充足を正に予測。4:社会的な要素は関係性充足を正に予測する。5:心理的欲求充足はゲームの楽しさを正に予測する。

 

手続き。”Amazon.com's mechanical Turk service”を使用。依頼者がコンピュータ化されたタスクを完了するために労働者を雇い報酬を支払うというオンライン労働市場。社会科学研究で人気だが、どう見てもゲームじゃない、ゲーミフィケーションアプリ相当だ。

当該サービスをそれなりにプレイしている(グット率90%以上、完了タスク50以上)米国人のみ対象、74名(平均33.69歳 女性61.6%)。研究への同意ののち、フィードバック重視条件・自由度高条件・交流重視条件のうち1つのゲームルールを読んでもらい、想像のもと自己申告してもらう。

楽しさはFu, Su, & Yu, (2009)、認知負荷はHart & Staveland(1988)、欲求充足はRyan et al. (2006)より採用。

 

結果。

ANOVA分析により、ゲームルールの記述は欲求充足と認知負荷に有意な効果を示した。

有能感充足は自由度>社会>フィードバックの順となり、1:は支持されなかった。

認知負荷はフィードバック>社会>自由度の順となり、2:は部分的に支持。

自律性充足は自由度>社会>フィードバックの順となり、3:は部分的に支持された。

関係性充足は社会>フィードバック>自由度の順となり、4:は支持された。

ゲームの楽しさは有能感と関係性による間接効果が見られ、5:は部分的に支持された。

 

ゲームプレイによる楽しさを欲求充足で説明しようとした試みだと思うが、採用しているのがゲームではないし、ゲームプレイを経てないし、おんなじ研究Ryan et al. (2006)がもうやっているという。

今回の条件ではフィードバック条件が振るわなかった。論文は、フィードバックに集中しすぎると認知負荷が高まり、楽しむどころじゃなくなる、としている。有能感充足が伴わないのって、そのフィードバックがプレイヤーの理想とあまりにも乖離している時に「うまく操作できてない」「目標到達が困難である」と知覚して、じゃないっけ? ただCETに則れば有能感充足と自律性充足はセットみたいなもんだから、そこかもしれない。

でもゲームルールの具体的な中身がないから具体的な推察も難しいという。なんやこれ。

総じて、何がしたかったのかよくわからなかった。

 

 

 

参考文献

Ryan Rogers. The motivational pull of video game feedback, rules, and social interaction: Another self-determination theory approach. Computers in Human Behavior, Volume 73, 2017, Pages 446-450, ISSN 0747-5632, https://doi.org/10.1016/j.chb.2017.03.048.