「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{172}Yee 2006

自己決定理論を基盤としたプレイヤーの動機の抽出。達成・没入・社会の3動機はここから。

 

Bartle(2004)のタイプと質問票をもとに、プレイヤーの動機に関する40の質問票を作成、リッカート尺度5段階。EverQuest, Dark Age of Camelot, Ultima Online, Star Wars Galaxiesのプレイヤー3000人からデータを収集。因子分析を行う。

 

結果。固有値が大きい10の要素が出現した。これらはプレイヤー動機の分散60%を占める。

・達成動機に該当するもの。

 達成動機。ゲーム内進捗やステータスによる優位性の確保、または富の蓄積。

 構造分析。ゲームの仕組みを分析し、より効率よく儲けようと試みる。

 競争。他者に挑戦し、勝利を収めたいとするもの。

・社会動機に該当するもの。

 社会動機。他者を助けたり、簡単な会話を楽しんだりして、浅く広い関係を作りたいとするもの。

 関係動機。特定他者との相互作用など、狭く深い関係を作りたいとするもの。VRchatでいうところの、お砂糖。

 協働動機。協力的マルチプレイや、これによる目標達成を試みる。

・没入動機に該当するもの。

 探索動機。ゲーム内を探索し、まだ誰も見つけたことがないようなものを発見する。

 ロールプレイ動機。ゲーム内に自身に該当する人格を作成、その世界の人物としてふるまう。

 カスタマイズ動機。アバターの外見、または自身が操作できる範囲のゲーム内事象の変更と創造を試みる。

 逃避動機。現実から逃避するために、または負の感情への対処的にプレイする。

 

男性は達成動機に関して、女性は関係動機に関して、有意に高いスコアを記録。ただし、達成動機に関しては年齢差による負の有意な効力のほうが優位である。また、社会動機に関しては性差が見られない。

問題のある使用(おそらくIGDのようなもの)との相関について、Kimberly Youngの質問票を用いて。達成動機、プレイ時間、達成動機に該当するものの順に、有意であった。

 

 

参考文献

Nick Yee. Motivations for Play in Online Games. CyberPsychology & Behavior.Dec 2006.772-775.http://doi.org/10.1089/cpb.2006.9.772