{191}清水, 川邊, 海塚 2006
対人恐怖心性-自己愛傾向の二次元モデル尺度の短縮版作成の試み。
岡野(1998)は対人恐怖と自己愛の関係を「恥に対する敏感さ」と「自己顕示欲の強さ」の2つの独立変数で扱う必要性を論じ、この2次元からなる4タイプを想定した。これはGabbard (1989)で問われた、傍若無人で自己顕示欲が強い無関心型と、自己顕示欲と対人恐怖の面を併せ持つ過敏型の考えを考慮したものでもある。
清水・川邊・海塚(2005)は対人恐怖心性-自己愛傾向二次元モデルを作成している。
対人恐怖心性→正常範囲内での対人緊張や他者回避性や敏感さを表す。恥に対する敏感さの置き換え先
自己愛傾向→青年期特有の人格特徴であり正常範囲内での地震や有能感や肯定的感覚を表す。自己顕示欲の強さの置き換え先
誇大特性優位型は自己愛傾向が強く対人恐怖心性が低いため、何の気兼ねなく自己主張ができ、高い精神的健康を持つとされる。
誇大-過敏特性両向型は対人恐怖と自己愛傾向がともに高く、社会的場面では他者の視線に過敏になり、慢性的な葛藤状態にあるとされる。
過敏特性優位型は対人恐怖が強く自己愛傾向が弱いため、自己に対する肯定的感情が弱く不適応的なふるまいをするとされる。
誇大-過敏特性両貧型は対人恐怖と自己愛傾向がともに低く、自身の情緒や内面に目を向けることが少なく、内的な葛藤をあまり感じない傾向にある。
中間型は対人恐怖と自己愛傾向が平均的な値にあり、未分類である。
やはり、なぜ、が気になる。
なぜ極端に自己顕示欲が肥大化するのか。自己顕示欲と対人恐怖がともに強くなる環境は。対人恐怖のきっかけは。ともに低い原因は。
参考文献
清水 健司, 川邊 浩史, 海塚 敏郎, 対人恐怖心性-自己愛傾向2次元モデル尺度における短縮版作成の試み, パーソナリティ研究, 2006, 15 巻, 1 号, p. 67-70, 公開日 2006/10/07, Online ISSN 1349-6174, Print ISSN 1348-8406, https://doi.org/10.2132/personality.15.67, https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/15/1/15_1_67/_article/-char/ja,