「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{134}中谷 智司 and 矢野 米雄. (1993)

PRGにおけるやる気の持続を促す要因の抽出を目的としたおしゃべり。

 

理論的背景がないため此方で適宜追加する。

RPGはシナリオ部・システム部・グラフィックス部・サウンド部に分類できるとし話を進める。

シナリオはメインシナリオ・サブシナリオからなり、これを構成する最小単位であるイベントからなる。達成目標・世界観などプレイヤーがゲームですべきこと、出来ることをプレイヤーが分かりやすい形で伝える役割を持つ。開示しすぎず秘密にしすぎず、プレイヤーが考察できる程度に公開していく。意思決定の材料として機能するため、自律性[45][102]。

システム部は特にゲームバランスや報酬の提供にかかわる。適度な難易度(謎解きや戦闘など)・直観的操作・ナビゲーション、どれかの値が極端だったり実際のプレイを想定していないものだった場合、プレイヤーは有能感の欲求阻害に則りゲーム離脱を図る[101]。報酬も同様、過剰にまた頻繁に与えることなく、不足または稀な供給などではなく。論文内ではやや部分的かつ盛大な報酬提供が適度な緊張感と達成感を発生させ持続に繋がるとしている。これは自己効力感の項目になる、報われ[101][117]。

グラフィックス部とサウンド部はシナリオ部やシステム部による処理の出力として機能する。UIがその代表例。プレイヤーが出力を認知し、それをもとに入力するというこのサイクルを滞りなく行うために、わかりやすい形態の出力と、わかりやすい形態の入力が求められる。これも言語化するなら有能感の充足となる、すなわち「今まさにプレイできている」実感である。

悔しさは短期的な動機付けとして機能し、長期的な暴露は離脱に繋がる[99][100]。論文は悔しさを説明するためにカーネマンとタバスキーの「代わりの世界」を引用している。失敗により想像する「失敗しなかったであろう世界」と現実との差が小さいとき、想像が現実になっていただろうと思えるほどに、この悔しさが強くなるとした。短期的な動機付けに関しては、欲求阻害の回復を試みる行動であると説明できる。

 

これより細かく、他分野に渡るマクロ的視点で、理論的背景がしっかりしている考察を[102]が行っている。そちらを参照すべき。

 

 

 

参考文献

中谷 智司 and 矢野 米雄. ロールプレイングゲームにおけるやる気の持続. 情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH), 1993, 18(1992-CH-017), 33 - 38, http://id.nii.ac.jp/1001/00055493/