「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{53}Hyungshim Jang, Johnmarshall Reeve, Marc Halusic. (2016)

生徒が好む授業形態を聞き出し、それを実行した結果、同時に聞き出した好ましくない授業形態よりも自律性充足・エンゲージメント・学習成果が比較的高かった。

この示唆を裏付けるためには、別のサンプル、別の科目において同様のことを行い、"生徒が選択した"授業形態が独立した効力を持っているかを確かめる必要がある。選択した科目が似通い、かつ授業形態そのものが有意なパスを持っていた場合、生徒による授業選択の効力が危うくなる。

また、今回は比較的好ましい形態2つの複合、好ましくない形態2つの複合の対象により行われた。今回の結果は後者において外的調整に有意な値が観測されなかったため実質的な対照群として働いたが、選択をかませない従来通りの”先生が選択した”授業形態を対照群として用意し、分析するほうが好ましいと思う。もし生徒が選択した授業形態と先生が選択した授業形態の差が有意ではなく、授業形態そのものの差が有意だった場合、これも主張が危うくなる。

とはいえ、その授業が楽しく興味深いかを一番よく知る者は授業を受ける生徒であり、その生徒の意見に現実的な範囲で応えたほうがいい、という主張には同意できる。

 

 

参考文献

Hyungshim Jang, Johnmarshall Reeve, Marc Halusic. A New Autonomy-Supportive Way of Teaching That Increases Conceptual Learning: Teaching in Students' Preferred Ways. The Journal of Experimental Education Volume 84, 2016 - Issue 4 Pages 686-701