「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{52}Tsai, Y.-M., Kunter, M., Lüdtke, O., Trautwein, U., & Ryan, R. M. (2008)

日常的な授業での学習に対する学生の興味経験(個人的・状況的問わず興味が誘発した状態)には大きなばらつきがあり、そのばらつきは自律支援的な環境、支配的な問いかけ(負)、理解のしやすさに配慮した文脈などの因子にて予測できる。また、個人的興味によって経験の濃度は増し、これは支配的な問いかけによる負の効果を一部かき消す効果も見られた。

同じ授業を受けていても、支援をどのように知覚するか、または対象が培ってきた個人的興味によって、誘発される動機付けの強さが異なってくる。

また、日常的な授業における興味経験は、個人的興味のみで起こりうるとは考えにくいことも示唆された。

この研究の強みは、実験的環境ではなく一般的な授業環境の年度初めより4~8週間の授業をサンプルとして用いたことである。

今回の研究結果はあくまでも相関関係を示すものであり、因果関係を求めたものではない。また、単位試験などの外部圧力といった交絡変数の影響を無視できない。また、サンプルがドイツの同学力帯の5年生261名、対象教科は数学・母国語・外国語であり、一般化のためには別の文化・学力帯のサンプル、そして別教科による結果が必要である。

 

 

参考文献

Tsai, Y.-M., Kunter, M., Lüdtke, O., Trautwein, U., & Ryan, R. M. (2008). What makes lessons interesting? The role of situational and individual factors in three school subjects. Journal of Educational Psychology, 100(2), 460–472.