{88}桜井 茂男, (1984)
CET(Deci 1975)で問われた報酬-欲求-充足-動機付けの関係を掘り下げたもの。
SEMモデル(Self-Evaluative-Motivatiom-Model)について記述。
自律性と有能感はそれぞれ独立した要因であり、報酬の構成要素によりどちらがどれぐらい充足されるかが異なる。
実験結果より、有能感の充足は物的報酬によっても達成された。正確には、実験の物的報酬群と言語的報酬群は有能感を指す指標の点数において有意差が見られなかった。また難易度選択による有能感充足の傾向にも差は見られなかった。物的報酬を用いても、効力感や達成感は知覚できる。→これがのちに、短期的かつ興味のない課題をやらせるためには物的報酬が有効となる、という主張に繋がる{45}{67}。
今回の実験で実証はされなかったが、SEMモデルは課題の失敗による有能感阻害についても記述されている。
物的報酬群は実験後、実験時にはこなせなかったタイプの課題を行う傾向が有意にみられた。「成功したら物的報酬を与える条件下だったため、報酬獲得のために成功率の高そうな課題を選択していた。条件下という統制されていたことで削がれた自己決定感を回復するために、別のタイプの課題を報酬影響下から逃れた後に行った。こうした傾向は言語的報酬群では見られなかったため、自律性充足による影響を表している」
自己決定感が満たされなかった反動について記述されている。健全な状態において、欲求が阻害された直後の行動や動機付けはどのようになるのか。反動の継続時間や強さは動機付けレジリエンスで語られている。欲求阻害の環境が不変ではない場合、なんとかして充足しようとあがく、体力が持つまであがく。こうした傾向を計測していた可能性がある。
自己申告式のジレンマ。児童対象。
細かいことはDeci et al. (1999)でまとめられてる。
参考文献
桜井 茂男, 内発的動機づけに及ぼす言語的報酬と物質的報酬の影響の比較, 教育心理学研究, 1984, 32 巻, 4 号, p. 286-295