「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{156}Daphne Bavelier, C. Shawn Green. (2019)

特にアクションゲームのプレイに関する神経科学的解釈。

 

明るくないのでざっくりとした所感を。

全体的に、ゲームプレイに対する神経科学的アプローチを行った研究はまだ蓄積が少ない。数少ない研究は主に報酬系に対する影響と選択的注意の強化を取り上げている。選択的注意の強化はその効力から、認知能力向上の手段とし手検討されており、リハビリへの応用も言及されている。

ゲームと一言で言っても、その構成はまるで違う。そして神経科学アプローチの都合上、その分類と条件を明確にしないと詰む。ADV、シミュレーション、アクション、全部ゲームとしてひとくくりにできてしまい、これを一緒くたに扱ったさい盛大な誤差が生じる可能性がある。

このレビューがアクションゲームを取り上げたのは単純にこの分野の知見の蓄積が多いからというのもあるが、特に選択的注意への効力を説明するときに有用であることも一因だろう。

プレイヤーの性差について。男性は特に「物理」を、女性は「伝統的」を好む傾向にある{155}が、これは神経の処理速度がかかわっているのではという予測がある。現段階では予測に過ぎない。

 

報酬系。良ゲー神ゲーの類は内外の報酬を上手に利用してこれを刺激している。外部報酬はオペラントによく似た手法で、プレイヤーの決定に基づいたやや偶発的な報酬と弱すぎず強すぎない罰。内部報酬はCET基準の心理欲求を満たすこと。

純化されたシューティングゲームのプレイ中にドーパミン放出が高まった(Koepp et al. 1998)。特に線条体とその前頭葉突起がゲームプレイ中に活性化され、繰り返し暴露されたときに報酬反応性を保持する可能性がある(Kuhn et al. 2011; Lorenz et al. 2015)。

ゲームが注意系を呼び出して、最終的に学習効果を高めるという文脈の研究が多い。

その処理要求を考えると、ゲームプレイが感覚経路から運動経路まであらゆる回路のはたらきと関係していることは驚くべきことではない(Gong et al. 2016)。プレイヤーは日プレイヤーと比較して視覚経路と運動経路の両方で白質線維の整合性(white matter integrity)の増加がみられた(Gong et al. 2017; Pujoi et al. 2016)。毎日のゲーム活動は特定のゲームジャンルに関係なく前頭前野に影響を与えている(Moisala et al. 2017)。

神経科学、交絡変数の統制くそ難しそう。あと長期暴露による変遷とかは研究者側も被験者側もかなりの負担になる。

 

 

参考文献

Daphne Bavelier, C. Shawn Green. Enhancing Attentional Control: Lessons from Action Video Games. Neuron, Volume 104, Issue 1,2019, Pages 147-163, ISSN 0896-6273, https://doi.org/10.1016/j.neuron.2019.09.031.