「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{103}Jeanine Krath, et al. (2021)

ゲーミフィケーション研究にどのような理論体系が用いられてきたかを探るためのメタアナリシス。

 

こういうシステマティックレビューに書かれている[検索欄にぶち込んだ言葉]は普段論文調べる時にめっちゃ役に立つのでコピペ。

{“Gamification” OR “Serious Gaming” OR “Serious Games” OR “Game-based learning”) AND ((motivation AND “theories”) OR (behavior AND “theories”) OR (learning AND “theories”) OR (affect AND “theories”) OR “theoretical foundations” OR “theoretical perspectives” OR “theoretical frameworks” OR “theoretical approaches” OR (systematic AND “review”) OR “meta analysis"} OR “Gamification theories”. 

 

結果。ゲーミフィケーションの説明のために引用された理論は少なくとも118あり、最も引用されているのは自己決定理論[76]である。

情動と動機付けに焦点を立てた理論でよく使われているのが、自己決定理論、達成目標理論、フロー理論、目標設定理論、自己効力感理論、社会的比較理論。行動に焦点を当てた理論でよく使われるのが、技術受容モデル、計画的行動理論、強化理論、行動変容のステージモデル、合理的行動理論、活動理論。学習に焦点を当てた理論でよく使われているのが、経験学習理論、構造主義、認知負荷理論、社会的認知理論、状況的学習、認知発達の社会的理論、社会的学習理論、マルチメディアラーニング。

論文が掲載されたジャーナルはインパクトファクターが高い順に"Computer and Education" "Educational Research Review" "Computer in Human Behavior" と続く。

 

特に人気のある21の理論を参照に、効果的なゲーミフィケーションのための(つまり効果的なゲームのための)10の要素を記載する。

1:明朗快活な目標。わかりやすい目標であること、目標を達成することで得られるものが開示されていること、目標を達成することとプレイヤーとの関係性を説くもの。

2:個人目標。プレイヤー自身が設定する目標を許容する。任意設置のマップマーカーのような。

3:即時フィードバック。行動に対する直接的なフィードバックを即座に提供する。最小単位は入力遅延。

4:ポジティブフィードバック。プレイヤーの行動に付随した報酬等を提供し、その努力を労う。収集要素やアチーブメントがそれにあたる。

5:社会的比較。プレイヤーがメンバーの状態を確認できるようにする。"正直な"コミュニケーションのためにも必要、正直さは情報開示によりある程度補強できる。

6:共通目標。プレイヤーによる集団が協力して取り組む課題の設置。

7:難易度調整。タスクの難易度をプレイヤーの能力に適応させ、調整できるようにする。でなければ萎えてしまう。

8:ガイド。目標達成のためのガイドを提示し、プレイヤーを誘導する。迷子になり彷徨うことは避けたい、目標達成のための手段が困難な場合、これは不快感を生成する。

9:選択の機会。プレイヤーが特定の目標を達成するために、複数の攻略方法から選択できるようにする。プレイヤーの能力や選好に寄り添った機能。

10:UIの簡素化。使いやすいUIは目的達成のための手段に費やすコストを削減し、つっかかりによる不快感を減少させる。

 

 

参考文献

Jeanine Krath, Linda Schürmann, Harald F.O. von Korflesch. Revealing the theoretical basis of gamification: A systematic review and analysis of theory in research on gamification, serious games and game-based learning. Computers in Human Behavior, Volume 125, 2021, 106963,