「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{90}岡崎 善弘 ほか. (2017)

プログラミング学習の一番最初、動機付けの段階で有効な授業スタイルはなにか、期待価値理論の観点から。

 

対象は小学3〜5年生。1人の指導員と21人参加の講義型、21人参加の2人1組の協働型、20人参加の個別でこなす個別型の3つ。事前/事後の期待と課題価値を計測。

 

結果。協働型と講義型にて期待と価値が有意に上昇した。個別型は期待は上昇したが、価値の上昇は有意ではなかった。

協働型と講義型の事前の期待値に差が見られるが、これは協働型が事前の質問紙回答前にテキストを頒布していたため、「これなら出来そう」と抱く傾向が多く見られたと思われる。

 

プログラミングを学び始める際の授業形式は、講義型か協働型が好ましいことが示唆された。講義型はわからないところを聞ける教員が、協働型はわからないところを一緒に考えてくれるペアメンバーがいることで、「できる」と「楽しい」が醸成されていったと考えられる。

個別型は指導員もペアメンバーもいないため自己決定理論でいう関係性が充足されず、課題価値の有意な向上が見られなかったと考えられる。頼れる味方がおらず、ミスにしっかりつまづくようになり、やる価値に疑問を見出した(コストが上がった)のだろうか。

 

期待価値理論からの観点であり、また課題の始めの観点の研究であることを留意。

 

 

参考文献

岡崎 善弘, 大角 茂之, 倉住 友恵, 三島 知剛, 阿部 和広, プログラミングの体験形式がプログラミング学習の動機づけに与える効果, 日本教育工学会論文誌, 2017, 41 巻, 2 号, p. 169-175,