「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{196}Dupont S, et al. 2014

社会的環境から欲求充足を媒介しエンゲージメントまでの経路を明らかにするために調査したもの。

 

フランス語話者ベルギー大学所属大学生331名(女性69% 平均24歳)対象。自律支援・構造(特に有能感充足のための教育学的システム)・教育的介護行動等はSkinner and Belmont (1993) と by Galand and Philippot (2005)から、最終学位に対する有能感(Galand and Philippot 2002)・自律性(Sheldon, Ryan, Deci and Kasser 2004; Ryan and Connell 1989)・関係性(Hausmann and colleagues 2007)の欲求充足、最終学位に対する認知的(Galand and Philippot 2005)・行動的(Galand et al., 2010)・感情的関与(Skinner, Kindermann and Furrer 2009)。

 

結果。完成したモデルを以下。

自律支援は選択の自由・外部統制戦略の回避傾向・自発性の尊重を指し、構造は明朗快活な情報の開示・即時フィードバック・認知的指導を指し、教員からの関与は生徒との交流・ケアと関心・居場所の提供と保証など。

また、感情的関与は学生が学習に直面した時の感情的反応、認知的関与は浅い/深い学習戦略の切り替え、行動的関与は学習開始と粘り強さを指す。

まず有意なのは自律支援よりも感情的ケアよりも先に、教材が扱いやすいとか努力成果が目に見えてわかるなどの有能感充足要素がすべての関与に正のパスを持っていること

自律性支援に関しては的外れなもの、つまり指示すべきところと委ねるところの見極めがうまくいかず逆効果になる可能性があり、直接的なパスがないことも問われている[149]。なお同研究では自律性支援が欲求充足を介し学習時間につながるとされているが、今回は認知的関与にのみパスを持った。

有能感がまず先に効力をもたらすというのはゲーミフィケーションしぐさ[101][102]が垣間見える。

 

 

参考文献

Dupont, S., Galand, B., Nils, F., & Hospel, V. (2014). Social Context, Self-perceptions and Student Engagement: A SEM investigation of the self-system model of motivational development (SSMMD). Electronic Journal of Research in Educational Psychology, 12(1), 5–32. https://doi.org/10.14204/ejrep.32.13081