{22}Landers, R.N., Bauer, K.N., Callan, R.C., Armstrong, M.B. (2015).
ゲーミフィケーションの理論的基盤として引用される5つの理論の解説と、所感。
5つの理論とは、ゲーミフィケーション指導に関する理論・条件付け・期待値理論・目標設定理論・自己決定理論の5つ。
どの理論も今後の議題が収束している。ゲーミフィケーションの導入が正の効力を持つ研究結果は多数存在するが、ゲーミフィケーションのどの要素が具体的にどういった効力をもたらしているか、その強度や提供の文脈はどういったものなのかについて、深堀りした研究は少ない。少なくとも、私が読んだ中ではほとんどない。
それに、理論的根拠が添えられているだけまだマシであり、理論的根拠を添えない研究やゲーミフィケーションを学習に善い独創的な手法であるとする研究が数多くある(Dichev, C., Dicheva, D. 2017)。
また、報酬型ゲーミフィケーション(Scott Nicholson 2014)の指摘の通り、ゲーム要素は必ずしも内発的動機付けの起因として機能するわけではない。ポイント・バッジ・リーダーボードそれ自体の獲得を目標とする外発的動機付けが発生する可能性がある、というか理論上発生する。
Elisa D. Mekler et al. (2017)を参照する限り、とってつけたようなゲーム要素、ゲーム要素と導入先アプリの内容が一致しない場合、それらがもたらしたであろう効力は無効化される。認知心理学の知見から引用するなら、学習はそれ自体とそれを取り囲む環境により成立するといえる。
私は構造上統制圧が強くなる教育現場で普遍的に扱っても、期待通りの効力は得られないと推測。あったとしても宿題のような、効力に個人差が発生するようなものとなる。ゲーミフィケーションはゲームベースラーニングと同じく、成績の可視化やフィードバックなど認知心理学的な優位性は保たれるだろう(Dondlinger, Mary. 2007)が、動機づけに関してはいまだ疑問を投げかけたい(Oga-Baldwin, W. 2015)。
何度も読んだような内容だとただまとめるだけじゃなくて自分の見解90%ぐらいになっちゃう。でも書いた後で読み返しても大体おんなじこと言ってる。つまりそゆこと。
参考文献
Landers, R.N., Bauer, K.N., Callan, R.C., Armstrong, M.B. (2015). Psychological Theory and the Gamification of Learning. In: Reiners, T., Wood, L. (eds) Gamification in Education and Business. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-319-10208-5_9