「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{154}Greenberg, B. S., Sherry, J., Lachlan, K., Lucas, K., & Holmstrom, A. (2010).

ゲームプレイ時間や動機づけと人口統計学的要素との関連を調査したもの。

 

2003年1月~6月。米国の公立学校6年生141人(男性70名)、8年生227名(102)、11年生324名(150)、大学生550名(229)対象。

好きなゲームジャンル(Lucas & Sherry 2004)。戦略・ファンタジー・アドベンチャーを「想像」、古典的アーケードゲームボードゲーム・カード/サイコロゲーム・パズルゲームを「古典的」、スポーツ・シューティング(FPS/TPS)・レースゲームを「物理」としてタグ分け。

プレイ時間。ゲームを特にプレイする時間帯と日当たり・週当たりのプレイ時間。

ゲームプレイの満足度(Sherry & Lucas 2003)、つまりゲームプレイの動機。

・没入arousal「ビデオゲームをすると興奮する」

・気分転換diversion「他のことをすべきときにビデオゲームをする」

・社会的social interaction「友人と集まってビデオゲームをする」

・空想Fantasy「ビデオゲームは他の人のふりをさせてくれる」

・挑戦challenge「あるレベルに達するまでゲームをする」

・グラフィック/サウンドHi-tech「ビデオゲームは見た目がかっこいいから好き」

・エゴEgo「強くなれるからビデオゲームをする」

・競争Competitonたとえば「誰かに負けると、もう一度対戦して打ち負かしたくなる」

・現実主義Realism「ゲームのキャラクターが現実の人間に似ているからビデオゲームをする」

 

結果。全体として、男性は週平均18.6時間、女性は週平均8.2時間プレイし、プレイ時間に有意な性差がみられた。また、男女とも8年生の時にプレイ時間のピークを迎えており、それぞれ平均23時間と11.5時間である。

9つの動機において、男性の平均点は女性のそれを上回り、動機づけの強さの性差も有意に確認された。男女ともに挑戦と競争が主な動機である。最も性差が激しいのは没入と社会的であり、どちらも男性優位である。

男性が好むゲームは「物理」ジャンルであり、女性は「古典的」を好む傾向にあった。「想像」に関しても男性優位だが、6年生時点のみ差は有意ではない。

 

年齢差について。低学年から高学年になるにつれ増加していき、8年生の時に最大プレイ時間を迎え(週平均17時間)、それ以降は減少傾向にあった。動機づけについては年齢による有意な差は確認されなかった。

 

 

 

参考文献

Greenberg, B. S., Sherry, J., Lachlan, K., Lucas, K., & Holmstrom, A. (2010). Orientations to Video Games Among Gender and Age Groups. Simulation & Gaming, 41(2), 238–259. https://doi.org/10.1177/1046878108319930