「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{153}Ferguson, C. J., Rueda, S. M., Cruz, A. M., Ferguson, D. E., Fritz, S., & Smith, S. M. (2008).

暴力的描写による暴露が攻撃性を引き起こすのかをきちんと確かめた実験と調査。

 

人間は暴力的描写に耐性がなく暴露すればみんな攻撃性が誘発されるGAMモデルvsもともと攻撃性が誘発しやすい土台があって暴力的描写とかそんなん関係なく暴力的な人はそうなだけcatalyst model(触媒モデル)。ファイッ。

 

実験1。テキサス州ウィスコンシン州の2つの公立大学計101名(平均20.9歳 男性55名)対象。"Medal of Honer: Allied Assault"プレイグループ、"Myst"プレイグループ、どちらかを選択してプレイするグループに無作為に分け行う。人口統計学的要素、特性攻撃性(Buss & Warren 2000)、ビデオゲームの習慣また暴力的なゲームをどれぐらいしているか、を訪ねた。

TCRTTの修正版(Anderson & Dill 2000)を用いた。25回の施行、1on1の対戦形式(実際にはコンピュータとの対戦)、勝ったら相手に騒音を与えられ、負けたら騒音を浴びせられる。攻撃性指標は騒音の長さと強さ。2つの指標の相関は低く、今回は強さを指標に採用。この指標は攻撃性ではなく競争性を測定しているという話もある{68}{70}が、今回はこれを採用。

インフォームドコンセントののち、アンケート、45分のプレイ、からのTCRTT、フォローアップアンケート。

結果。男性の性別はTCRTTの強度と中程度の正の相関。選択グループの選択傾向は、性別のみが有意な予測因子だった。暴力的描写はTCRTTの強度に有意な相関をもたない。特性攻撃性とビデオゲームの習慣も同様に有意な相関を持たない

 

実験2。フロリダ州公立大学学部生428名(平均20.68歳 男性173名)対象。人口統計学的要素、特性攻撃性(実験1と同じ)、ビデオゲームの習慣(実験1と同じ)、家庭内暴力への暴露(FCS)、暴力的な犯罪行為(National Youth Survey)、を訪ねた。

結果。性別と民族を第一、家庭内暴力を第二、ビデオゲーム暴露を第三、特性攻撃性を最終。男性であること・言語的虐待の暴露・身体的虐待の暴露は特性攻撃性の有意な予測因子だった。ビデオゲームの暴露は特性攻撃性を予測しなかった。

性別と民族を第一、家庭内暴力を第二、暴露を第三、特性攻撃性を第四、攻撃性とビデオゲームの相互作用を最終、行為をアウトカム。男性の性別・身体的虐待への暴露・特性攻撃性・親の愛情の知覚(the perception of parental affection)は行為の有意な予測因子だった。相互作用も有意な予測因子だったが、暴露は行為に直接的な関係を持たなかった家庭内暴力への暴露がコントロールされたとき、ビデオゲーム暴露は行為の有意な予測因子にはならなかった。

 

今回の結果の限りでは、もともと攻撃的な人が暴力行為を引き起こすという触媒モデルが支持された。

 

 

 

参考文献

Ferguson, C. J., Rueda, S. M., Cruz, A. M., Ferguson, D. E., Fritz, S., & Smith, S. M. (2008). Violent Video Games and Aggression: Causal Relationship or Byproduct of Family Violence and Intrinsic Violence Motivation? Criminal Justice and Behavior, 35(3), 311–332. https://doi.org/10.1177/0093854807311719