{152}Dondlinger, Mary. (2007)
ゲームベースラーニングに関する文献のレビュー
Denis and Jouvelot (2005)「教育とビデオゲームを区別する主な特徴はインタラクティブ性であり、前者は教学的・直線的な進行に基づくため、放浪や代替物にとどまらない」教育用ビデオゲームはそのプレイに戦略・仮説検証・問題解決が必須となる高次の教材であり、かみ合えば従来のそれよりも効果的な学習効果が見込める。
動機付け。ゲームベースラーニングの動機をどこに帰属させるかは研究者の間でも割れている、ゲームそのものの性質を取り上げたり、ゲームの中の目標要素を肝としたり、CET的な動機付けだと主張したり。いずれにせよ、動機付けはゲームベースラーニングで重要な要素であり(要検証{140})、効果的なゲームデザインは内発と外発両方を考慮する必要があるとしている。
3Dグラフィックによる認知的優位性。また提供の文脈「学習者にとって意味のある学習課題であるためには、学習のための十分な文脈と、学習を助けるタスクを実行するための動機の両方が必要である(Waraich 2004)」
目的とルール。何をすべきかを定め、何ができるかを決定するための重要な要素。ここが曖昧であると有能な効果は期待できなくなるが、これ自体は何の指標も理念もなく教育を行うようなものであり驚きはない。
プレイヤーとゲームの相互作用と多感覚的な手がかり。ほとんどが文面でつづられる現在の教育とは違い、ゲームは視聴覚を主に多様な情報をもってプレイヤーに伝え、それをもとにプレイヤーは意思決定を下せる{144}。最良のゲームは「物語が貸すコントロールの程度とプレイヤーの相互作用の自由の間に意図的に緊張を生み出す、高度な相互作用を作り出すゲーム」としている(Swartout and van Lent 2003)。論文は意思決定とその産物の高頻度のやり取りと、それを制約/拡張するゲームシステムの関係を説いている。
ゲームの利点として、現実的な文脈を再現し仮想体験できるところにある。「路上の子供」や「裏表のカード」のように、学習成果や発揮できる認知能力は文脈により左右される。知識とそれを再現した状況があるとき、より多くの習得を促せる。
良作のゲームベースラーニングは構成主義の原則に準拠していることが発見された。演繹と仮説の検証。複雑な概念と抽象的思考。資格と空間の処理。ゲームベースラーニングは、認知心理学と動機づけにおける圧倒的アドバンテージを活かしたごり押し学習が可能である。Squire and Barab (2004)、かのCiv3を使っている、後でみよ。
性差に関しては、いまだにわからないところが多い。動機づけや認知的な差異はないのに、なぜプレイ人口に差異が生じているのだろうか{141}{132}。
動機づけについて触れられることはあったが、基本的にはゲームという従来の教育より認知心理学的に優れているシステムについての探求、が強く見られた。
認知心理学において、学習物と学習状況の一致、学習の文脈はかなり重んじられる傾向にある。彼らの理論に従えば、学習効果は文脈によりかなり左右される。ゲームベースラーニングのレビューである本論文にも同傾向がみられた。
参考文献
Dondlinger, Mary. (2007). Educational Video Game Design: A Review of the Literature. Journal of Applied Educational Technology. 4.