「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{144}Hamari, J., & Tuunanen, J. (2014).

ゲーマーのプレイヤータイプについての体系的なレビュー。

 

プレイヤータイプの分別は、カジュアル層とガチ層の区別についての議論から始まる。より深く知り、より長く接し、より多く言葉を交わした人がガチと言えるなら、その基準は? 『ガチ』の基準は研究者の間でも割れており、やがて単純な2分化は難しいと気付く。

 

Bartle(1996)はプレイヤーを作用-相互作用・世界-プレイヤーの2つの軸、4タイプにプレイヤーを分類。達成志向・没入・殺人鬼・社交家。シンプルで扱いやすいが、2項対立的という批判もある。

Yee(2007)はプレイヤーの動機として達成・没入・社会の3つを上げた。Bartleぐらいよくみるやつ。SDTっぽい。達成⇒有能感、没入⇒自律性、社会⇒関係性、みたいな。追試は{97}参照。

Stewart(2011)はBartleのをいくつかの異なる概念と合体してなんかしたかったらしい。

Zachariasson et al.(2010)はYeeの動機付けと自己-他者の軸を融合させたもの。進歩と挑発・権力と支配・援助と支援・友人と協力・探検と空想・物語と逃避の6つの動機を定義。

Tseng(2010)は探索の必要性と制服の必要性という2つの概念を以てプレイヤーの背後にある動機付けを説明しようとした。PvPを好む殺人鬼タイプのなぜなにについて論理的に解説されている。

Leo Whang &chang (2004)はオンラインゲームプレイヤーをソロプレイ志向・コミュニティ志向・なりきり志向に分けた。なりきり志向は没入動機に近く、プレイヤーがその世界に住む1人の人間として生きるかのように演じている。

Kallio et al. (2011)は伝統的な型を捨て、より一般的なゲーマーのヒューリスティック(直観的方略)の作成を試みた。社会的・カジュアル・貢献のメンタリティからなるとした。

 

レビューした論文の殆どは社会的動機と達成動機を取り上げていた。また、タイプとして完全に区別すると二項対立的と批判されるが、これに関しては「このタイプの傾向が強い」とか、それぐらいで扱ってほしい。

こういうタイプ研究はMMORPGを題材としたものが多い。他のゲームを題材とした分析も欲されているし、より一般的な特性の分析も求まれる。

プレイヤータイプはかなり主観交じりというか、研究者が思いおもいに区別している。統一してくれ。この論文読んだだけでも困惑した。

プレイヤーの主な動機として達成・探索・社会的・支配・没入が上がることを結論とする。{55}{57}{114}{135}{138}を踏まえて議論するべし。

 

※今までYee 2007だと思ってたやつ、Yee 2006と記述していた可能性が高い。

 

 

参考文献

Hamari, J., & Tuunanen, J. (2014). Player types: a meta-synthesis. Transactions of the Digital Games Research Association, 1(2), 29-53. https://doi.org/10.26503/todigra.v1i2.13