{54}Emily Naul and Min Liu. (2020)
シリアスゲームにおける没入感に対しストーリー要素はどういった影響を与えているのか、またシリアスゲームにおいてウケるストーリーを構築している要素はどういったものかをリサーチクエスチョンとした、レビュー。
前提として、ストーリーは(シリアス)ゲームの世界を理解するために設けられており、ことゲームのそれはプレイヤーの選択に呼応しその内容を変えることがある。
与える影響。ストーリーは強い没入感とエンゲージメントを作り、それが学習成果に正の効果をもたらしている。また、ストーリーを揺さぶる選択肢はより自律性の高い動機付けを起こしている可能性もある。
ウケるストーリー。マルチメディアラーニングのような、言語/非言語的な聴覚/視覚刺激を複数利用し、ストーリーを訴える要素。ゲーム内キャラのプレイヤーに対する共感のフレーズ、キャラとプレイヤーの会話コンテンツ。ストーリーと行動の乖離の少なさ、なにを目的になにをしているのかがわかりやすい(納得できている)状態、目的的行動にて構築されているもの。選択肢が効力を持つストーリー、プレイヤーの意思決定が反映されるストーリー。
「どうして教育機関はこれを導入しないのでしょう? こんなにも素晴らしいものなのに」
→作る側と扱う側の乖離。メタスコアにおけるメディア評価とユーザースコアの乖離。末端の教職員がまともに扱えるかどうか、生徒が長期的にそれを受け入れられるか、コストをかけてきちんと長期的な利益が得られる確証があるのか。
正直、それを示しても反映されない気はするが。
参考文献
Emily Naul and Min Liu. Why Story Matters: A Review of Narrative in Serious Games. Journal of Educational Computing 2020, Vol. 58(3) 687–707