「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{188}Babette Park, et al. 2015

認知負荷と情動に関する実験。

 

モダリティ原理について。本研究では画像とテキストのセットより、画像とナレーションのセットのほうがよりよく学習することが示唆された。また、興味深いが不要な内容(コラムに該当するもの)が含まれたナレーションは、学習者のパフォーマンスをより高く維持できる。

興味深いが不要な画像や文章にナレーションがついた場合、これは学習阻害などの有害な効果を発生する可能性がある。これは通常であれば読み飛ばすことができるコラム情報に対し、画像or文章andナレーションの処理が生じてしまうからである。単にナレーションで補足情報を言うのと、端に書いてあるコラムにナレーションが強制的に誘導するのとでは効力が違う。

状況的興味について。興味深いが不要な内容は低負荷ナレーション、つまり文章とナレーションを同時に処理しない状況において発生したが、それ以上に発展はしないことが示唆された。ポジティブ感情も、そこから派生する正の学習効果も有意ではなかった。ただし、状況的興味は適応的な処理スタイルを媒介することは示された。

以上より、低負荷な環境においては「へぇ」となるような情報を混ぜ込むのもありと思われる。高負荷な業務の際に茶々を入れる行為は、作業妨害として機能する。また、画像とナレーションを組み合わせるという方式は有効であることが示された。

 

大学生123名(女性66.7% 平均22.11歳)対象、心理学専攻。3名のデータを除外した。

ATPの合成を担う細胞分子の構造と機能を題材とした教材、11画面440語からなる。

追加情報は、他の情報より有意に興味深いと評価され、学習目標達成には必要ない、カテゴリ的には同じな、教材の30%を占めない、教材内容と接点があり、感情的な誘惑があること、を基準に選定(Garner et al. 1989)。

教材条件として、主題のテキスト/ナレーション表示2条件×コラムの無提示/テキスト提示/ナレーション提示の3条件の計6条件を用意した。画像は静止画またはアニメーションを用いた。

プロセス。学習前に、学習意欲・空間能力・事前知識についてテストを行った。学習後、状況的興味の状態・情動の状態・主情報/コラム両方の保持テストを行った。①セッション75分。

 

 

参考文献

Babette Park, Terri Flowerday, Roland Brünken. Cognitive and affective effects of seductive details in multimedia learning, Computers in Human Behavior, Volume 44, 2015, Pages 267-278, ISSN 0747-5632, https://doi.org/10.1016/j.chb.2014.10.061.