「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{177}Makransky and Mayer. 2022

ヘッドマウントディスプレイHMDを用いた学習+αが2Dビデオ教材よりも効果的かどうかを検証したもの。

 

学生102名(M=14.14 男性39名)対象、ヨーロッパの異なる4つの地域の公立学校所属。49名がHMD群に振り分けられた。

測定機器。人口統計学的情報を集計する事前アンケート。プレゼンス(Makransky et al. 2017)・興味・楽しさと知識を問うテスト、これは直前と遅延両方行う。知識テストは多肢選択式。

ビデオ教材はDennis and Strauss (2018)によるドキュメンタリー、気候変動を主題としたもの。 multimedia principle (Mayer, 2021b), signaling principle (Albus 
et al., 2021; van Gog, 2021), split attention principle (Ayres & Sweller, 2021), redundancy principle (Baceviciute et al., 2022; Kalyuga & Sweller, 2021), modality principle 
(Baceviciute et al., 2020; Castro-Alonso and Sweller, (n.d.)), personalization principle (Fiorella & Mayer, 2021b; Petersen et al., 2021)に則る。HMDはサムソンのものを使用。

介入は6つのレッスンからなり、それぞれ50分。事前は介入開始前、直後はレッスン2の後、遅延は介入過程終了後に行った。1:事前アンケートとフェイクニュース。2:2Dビデオ条件/HMD条件に分かれてビデオ視聴。この時生徒を3~4人のグループに分け、3:~6:はこれに則り作業される。3:~6:はFiorella & Mayer (2021)に基づいて設計された、ここは両群に違いはない。介入期間は19.44日(SD= 9.87)だった。

 

結果。平均年齢と学年、性差、介入期間のばらつきは結果に影響を及ぼさない。

HMD群は臨場感(プレゼンス)・楽しさ・興味の評価が有意に高かった。直後・遅延テストにおいても有意差が生まれた。

モデルは以下の通り。HMDであることは臨場感に有意差をもたらした。また臨場感は興味と楽しさの優位な先行要因であり、楽しさと興味の相関も確認された。楽しさは直後のテストに影響を与えた。遅延テストは直後のテストと興味深さに影響を受けた。

HMDによる臨場感の確保は、興味深さと楽しさを介した成績向上につながることが示唆された。

 

 

参考文献

Makransky, G., Mayer, R.E. Benefits of Taking a Virtual Field Trip in Immersive Virtual Reality: Evidence for the Immersion Principle in Multimedia Learning. Educ Psychol Rev 34, 1771–1798 (2022). https://doi.org/10.1007/s10648-022-09675-4