{174}Duygu, et al. 2019
マルチメディアラーニング研究における認知負荷に関する文献のレビュー。
内的認知負荷・外的認知負荷・一般認知負荷(germane cognitive load)の3つ。それぞれ、学習課題の複雑さと要素の相互作用を処理、妨害刺激に対する処理、残された理解のためのメモリ、と解釈(Paas & Sweller, 2014, s. 39; Sweller et al.,2019).。
余計な処理を最小化するために提案された原理は以下。 (Mayer & Fiorella, 2014):
coherence principle, signaling principle, redundancy principle, spatial contiguity principle, and temporal contiguity principle.
本質的処理を管理するために提案された原理は以下。(Mayer & Pilegard, 2014): segmenting principle, pre-training principle, and modality principle.
生成処理を促進するために提案された原理は以下。: multimedia principle (Butcher, 2014), personalization principle, voice principle, embodiment principle (Mayer, 2014a,b,c), guided discovery principle (de Jong & Lazonder, 2014), self-explanation principle Wylie & Chi, 2014), and drawing principle (Leutner & Schmeck, 2014).
選別基準は以下。最終的に94件がレビュー対象となった。
結果。94件のうち、外的認知負荷は14件、一般認知負荷は1件、内的・外的認知負荷は14件、外的・一般認知負荷は2件が扱っていた。44件の研究は認知負荷の種類を示していない。
94件のうち、多く研究された原理はmodality principle(17.6%)、seductive details effect (17.6%)、 signaling/cueing principles(15.7%)と続いた。人は図解と文章よりも図解とオーディオナレーションのほうがよりよく学べるし、文章に無意味な情報を混ぜると理解度がた落ちするし、焦点を当てるべきところを強調すると集中しやすくなる。
マルチメディアラーニングにおける認知負荷に関する論文が掲載されている雑誌の中では、Computers & Education, Educational Technology & Society, Multimedia Tools & Applicationsが人気である。
認知負荷に関する研究はヨーロッパ(39.3%)、アジア(35.1%)、アメリカ(22.3%)の研究者がそれぞれこの割合である。
認知負荷の研究の多くはSTEM科目を利用している(59.6%)。次いで社会科学(23.4%)、健康(14.9%)となる。それに関連してか、94件のうち66件が大学など高等教育機関を対象としている。小中学生を対象とした研究は限られる(計12件)。
94件のうち72件が質問紙など主観的手法にて効力を計測していた、最も用いられていたのはPaas(1992)の精神的努力の主観的評価である(n=27)。認知負荷、特に情報処理の焦点などはアイトラッキングなど客観的計測が用いれる。fMRIなども有力。予算とサンプル数の都合上かんたんに採択できるものではないが、しかし求められている。
90件の研究が保持・移行テストや達成テストなど実際の学習を図るかたちのテストを用いていた。また、47件は事前知識も計測している。
ほぼすべての研究で認知負荷が従属変数として選択され、最も好まれたのは外的認知負荷である、次いで学習成果。独立変数はマルチメディアのタイプが最も多く使用され(n=40)、ついで事前知識である。
レビュー対象のうち認知過程を研究したものは少なく、最も多く取り上げられてのはワーキングメモリで、9件が使用した。
学習環境は69件がコンピュータベースでの学習環境だった。
研究主題としては、マルチメディアのデザインが認知負荷にどう影響するか、という文脈が一番多かった(n=45)。
参考文献
{174}Mutlu-Bayraktar, D., Cosgun, V., & Altan, T. (2019). Cognitive load in multimedia learning environments: A systematic review. Computers & Education, 141, Article 103618. https://doi.org/10.1016/j.compedu.2019.103618