「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{175}Jingwei Li et al. 2019

マルチメディアラーニングの研究傾向と大局の変動についてレビューしたもの。

 

手続きは以上。1996~2016年のうちに、英語で発表された、マルチメディア学習を題材とする、SCIEおよびSSCIのソースタイプにある論文が対象となる。411件が対象となった。

分析はキーワード共起解析、キーワードバースト検出、用語共起解析を用いる。

 

結果。

出版傾向。1996~2001年までは年3~5件程度。2002年には11件、そこから右肩上がりで上昇し、2015年には50件出版された。

分野傾向。教育研究が49%、心理学が34%、コンピュータ科学が10%と続く。

出版傾向。Computers in Human BehaviorとComputer & Educationが20%を占めていた。

出版者。Richard E. Mayer (48/U.S.), Jan L. Plass (16/U.S.), Roland Brünken (15/Germany), Katharina Scheiter (14/Germany), and Detlev Leutner (11/Germany)と続く。

もっとも引用された文献は下記表に。やはりMayerつおい。

対象となった論文で20回以上出現したキーワードの頻度。認知負荷・ワーキングメモリ・デザインが最も頻度が高く、100回以上の出現を確認。続いてテキスト・イラストといった語群も出現回数が多く、これはマルチメディア学習の構成を説明するために用いられたためとされる。

バースト期間。特定の期間に特に多く持ちいられたワードについて、下記表に。

 

タイトルや抄録から抽出されたものをもとに、論文をクラスタ分け。

1:理論的基盤。人々がどのように学習するかを探求、これを言語化したもの。分析対象となった研究では、認知負荷理論が圧倒的に優勢である。

2:表現と原理。マルチメディア学習研究で探求される一般的な構成と、これを活用した教材作成を支援するために考案された手法とその理論的根拠について述べたもの。文章や図の詳細構成について言及されている。無駄な情報の排除。冗長性。専門性の逆転効果。注意の分割。アイトラッキング

3:設計と個人差。教育における理論の応用、実際に使用した際の結果、予備知識や事故効力感などの個人差がなにをもたらすかなどを述べたもの。作業のアニメーション化とその効力。空間把握能力の差。

4:動機づけとメタ認知。学習における個人の関与を誘発・維持する可能性のある学習の構造を探求しこれを言語化する。より深い認知と学習を促進/阻害する様々な動機づけデザインの特徴とその効果について。

5:ハイパーメディア。ビデオとハイパーメディアに支えられた学習における理論の実装について述べている。ハイパーテキストの効力と実践など。

 

 

参考文献

Jingwei Li, Pavlo D. Antonenko, Jiahui Wang. Trends and issues in multimedia learning research in 1996–2016: A bibliometric analysis. Educational Research Review, Volume 28, 2019, 100282, ISSN 1747-938X, https://doi.org/10.1016/j.edurev.2019.100282.