「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{120}村川 弘城, 白水 始, 鈴木 航平, (2013)

ゲーム型学習教材の学習方法による動機付けの差異について実験を行ったもの。

 

中学生n=102対象。マスピード(数学におけるゲーム型学習教材)を使用。「これをやると計算力が身に付きますよ」と教示した勉強条件、「こんな楽しいゲームを見つけたので、やってみようか」と教示した遊び条件、「こんな楽しいゲームを見つけたので、やってみようか」と教示したうえで一戦終えるたびに攻略法を整理するフェーズを挟んだ方略発見条件の3条件に無作為に分類。同一視的調整・内的調整・プレイの継続を指す尺度を1つづつ設け、これをプレイ後に回答してもらう。プレイ時間20分。

結果。3つ尺度すべてにおいて方略発見条件>勉強条件>遊び条件の順となり、差は有意だった。OIT、つまり相対的自律性を基軸として考えた場合、今回のゲーム型学習教材は授業の中での強制の暴露だったため、内的調整頼りの遊び条件において動機付けが一番弱く表れたと推測。方略発見条件と勉強条件の差はプレイ後の方略整理にあり、「自分なりの攻略方法を言語化している」という作業が欲求充足に繋がったと推測。また、方略発見条件はゲーム攻略のために必要性をもって数学的法則への接触と試行錯誤を繰り返している、これはより深度の深い学習であることを示唆している。

 

 

参考文献

村川 弘城, 白水 始, 鈴木 航平, ゲームにおける方略の振り返りが動機付けに及ぼす効果 : カードゲーム型学習教材「マスピード」を例に, 日本教育工学会論文誌, 2013, 37 巻, Suppl. 号, p. 109-112, 公開日 2016/08/10, Online ISSN 2189-6453, Print ISSN 1349-8290, https://doi.org/10.15077/jjet.KJ00009957527, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/37/Suppl./37_KJ00009957527/_article/-char/ja,