「ゲーム心理学」知見保管庫

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{94}Froiland, J.M. and Worrell, F.C. (2016)

高校生における内発的動機付けと学業成績の関係を色んな変数加味したうえで調べてみた。

 

サンフランシスコ・ベイエリアの高校生n=1575(fe 53%)対象。調査。

変数。内発的動機付け、エンゲージメント、学習目標(熟達志向)、GPA2012,2010、性別、親の学歴、年齢。

 

結果。基本的に、内発的動機付けは学習へのエンゲージメントを介してGPAに正の相関を持っている。内発的動機付けは学習目標と、学習目標はGPAにそれぞれ正の相関。内発的動機付けは新しい学びの選択や学校生活の楽しさと相関。学習目標は学習と挑戦へののめり込みと正の相関。エンゲージメントはより高難度の学習や学校入試への挑戦と正の相関。

親の学歴はGPAに直接関連したが、エンゲージメントや過去のGPAとは有意な関係を持たない。当人のモチベーションの促進よりも、環境整備や金銭的な支援など直接的な学業支援を反映している可能性がある。また性差が確認され、女子であることがエンゲージメント・学業成績と正の相関を持った。当人の年齢は有意な関係を持たなかった。これらの変数と過去の成績をコントロールしても、内発的動機付け-エンゲージメント-GPAのパスは有意であった。

この研究はラテン系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人でそれぞれ別のモデルを作成し求めだした。結果、民族間で大した差は見られなかった。モデルとの整合性はサンプル数で補わられていたが、内発的動機付け-エンゲージメント-GPAのパスはサンプル数が少ないモデルであっても有意な関係を持った。

 

学習に対する目的的な信念は学習行為への接近を促し、結果的に学業成績へ結びつく、その効力は無視できないものである(GPAの分散35%を説明)。また目的的な信念は学校における生きやすさや挑戦志向とも関連する。

 

 

参考文献

Froiland, J.M. and Worrell, F.C. (2016), INTRINSIC MOTIVATION, LEARNING GOALS, ENGAGEMENT, AND ACHIEVEMENT IN A DIVERSE HIGH SCHOOL. Psychol. Schs., 53: 321-336.