「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{93}Sujit Subhash et al. (2018)

高等教育におけるゲーミフィケーション利用の体系的なレビュー。

 

高等教育におけるゲーミフィケーション利用の研究が最も多い地域はスペインであり、アメリカ、ドイツ、イギリスがそれに続く。

ゲーミフィケーション利用ではポイント・バッジ・リーダーボードが頻繁に採用されている。これらの要素は実装が比較的容易であり、学校教育のような興味価値を見出しづらい課題に短期的にでも紐づけることに関しては優秀である{45}。基本的には有能感の充足を担う{2}。

ゲームベースラーニングの利用ではグラフィカルな要素やレベルが頻繁に用いられる。ゲームベース環境において実装が簡単だから、という点でよく用いられているという。基本的に、プレイヤーはより高品質のグラフィックを求める傾向にあり{55}、それらは意思決定の支援などの働きを持つ。

ゲーミフィケーション利用によって得られた利益は主に学生の態度・エンゲージメント・成績だった。正確には、ゲーミフィケーションにより心理的欲求が充足され、学習へのエンゲージメントが高まり{12}、学業成績に反映された(Froiland and Worrell 2016)、というパスだろう。研究によってはエンゲージメントまで予測しても、成績を有意に予測しなかったとしている(Song, Ju, and Xu, 2017)。基本的には、態度の向上やドロップアウトの低下など欲求充足によって得られるメリット{49}が享受できると思えばいい。

 

 

参考文献

Sujit Subhash, Elizabeth A. Cudney, Gamified learning in higher education: A systematic review of the literature, Computers in Human Behavior, Volume 87, 2018, Pages 192-206,