「ゲーム心理学」知見保管庫

「ゲーム心理学」の参考文献等を投稿します。

{42}Dajung Diane Shin & Sung-il Kim. 2019

知的好奇心は不確実性への対処として働く。未知のものはなにをしてくるかがわからない、命を脅かすかもしれない、だから知ろうとする。この時に得た情報は報酬として機能する、不確実性を解消する道具的利益として。

知的好奇心は食欲と相似点あり→報酬を受け取る予期を伴う。反復サイクルによる興味の発達。不確実性がなくとも発生することがある。ただし、ギャップが大きすぎても小さすぎても好奇心は失われる。

解消することで得られる価値は、その情報がどれだけ重要か、解消が現実的か、によりだいたい定まる。好奇心の解消、つまり知識の獲得は、対象の視野を広げギャップをより可視化しやすくなる、また有能感の充足をもたらす。

知的好奇心サイクルにかかわるコスト、高い場合中断される。努力コスト、努力に対する否定。感情コスト、行為に対する感情的な否定。

退屈しのぎのための情報要求を知的好奇心とするかは議論の余地あり。

知的好奇心は個人的興味の発達にかかわりあり。

状況的興味と知的好奇心は混在されがち。違いはいくつかある。前者は感情的快楽を求めるために、後者は不確実性を解消するために。前者は快楽のために知識を得る、後者は知識を得て不確実性を解消するために知識を得る。前者は理解しやすいコンテンツが対象、後者は曖昧で理解しづらいコンテンツが対象。前者はポジティブな感情、後者はネガティブな感情を伴うことが多い。前者はオピオイド系、後者はドーパミン系。

好奇心には『向き』がある。前向きの好奇心は予測不可能性により、どういった情報が不足しているかを理解するための。後ろ向きの好奇心は不調和により、予測と現実のミスマッチにより生じる。予測を必要とするため、前向きより後ろ向きのほうが知識がある状態。学習においては後ろ向きのほうが有利。

知的好奇心を上げる方法。基本を教えた後に例外を示す。価値を上げ、コストを下げる。フィードバック、特に誤りに対する情報的なフィードバック。

結果重視と規範的評価は知的好奇心の発達を阻害する。努力コストを大幅に引き上げるため。

 

 

参考文献

Dajung Diane Shin & Sung-il Kim. Homo Curious: Curious or Interested? Educational Psychology Review volume 31, pages853–874 (2019)